第49話 シンデレラ




♡舞台では、beni5と近江舞子のミックストークが行われていたの。

その姿を袖で浜、洋子、莉央、たちが見ているね。


 そしてようやく会場の奥に白い軽バンが見えたの。白馬でなくて軽バンね。莉央はべ号を見つけてマイクを握り会場にこう言い放ったの。♥




「みなさん!ようやく、この町のシンデレラがきました!すみません、舞台までの道を開けてください!いま、高島マキノの入場です。」


「窓を開けてオレンジのコスチュームを着たマキノさんがみなさんに手を振ってますね。すごく笑顔がさわやかです。マキノさんを乗せた白いかぼちゃの馬車ならぬ、弁天味噌のマキノさんの愛車がステージに近づいてまいりました。」





♡どーん!会場中は莉央のマイクパフォーマンスに大受けみたい、緑の芝生をべ号がトコトコと走ってくる、そしてステージに横付けになると、優作様が運転席から降りて後部のスライドドアを開けてエスコートすると、キラキラとしたマキノが降りてきたの。♥






「待ってたよ!マキノ!」





♡メンバーがマキノをステージにあげると四人は感情が抑えきれずに抱き合あったんだ。莉央も涙ぐんじゃって言葉をなくしていると、近江舞子がマイクにむかって。♥




「みなさん!ここに3年の沈黙を破ってbeni5が帰ってきました。ぜひ彼女たちの最後を笑顔で送り出してあげてください!」


「マキノちゃんおかえり!」


「マキノ!マキノ!マキノ!マキノ!マキノ!マキノ!マキノ!」




♡それぞれの思いが交錯する会場のボルテージも最高に達していたわ。

鳴り止まないマキノコール。毒子で幕を下ろした自分にこれほどのコールがかかるとはマキノ自体も思っていなかったの、地道に頑張ってきた結果がここに花咲いたのね。そしてマキノは自らの言葉で語り出したの。♥




「みなさん、心配かけてすみませんでした。こんに大勢の人が、集まってくださって、私感激です。ただ一つみなさんに、お話したいことがあります。」




「絶対に!絶対に!!!!!弁天味噌は!安全です!!!!!」




「しーん!」




♡ん?会場が水を打ったようにシーンとなったわね。

マキノもう、みんな弁天味噌についた嘘なんてわかっているよ

そっか、マキノはまだ、あまりこのことは知らないのか。優作様も一睡もせずにマキノを探していたからね。

 もう大丈夫だから。そして会場にたどり着いた日吉が拍手を打ったの。一つの拍手が隣、また隣とつながっていき、大きな拍手につつまれていったわ。♥




「パチ、パチパチ、パチパチパチパチ、パチパチパチパチパチパチパチパチ」




♡マキノの地元愛っていうか、弁天味噌愛が会場のみんなに伝わったみたいね。いまあなたはこの町のアイドルだからね♥




「あ、ありがとう、ございます!」





♡マキノが挨拶すると、莉央が自分にカツを入れてマイクを握ってbeni5ファイブをみんなの前に送り出したの。

 そして近江舞子と一緒に浜たちのいる舞台袖で、日本中を熱狂させたアイドルユニットの最後をみていたわ。♥





「皆様、お騒がせ娘のbeni5です。私リーダーのあらたあさひともうします。ここまで来るのに、3年も待たせてしまってすみませんでした、長かった3年間、私たちにも色々とありました。

 ですが、再び帰ってこれることができて、これも未だに私たちを支えていただいてるファンの皆様、このイベントに時間を作っていただいたスタッフのみなさん、そして、マキノが愛してやまない竹生町の皆様のおかげで私たちのライブができることを感謝しています。」


「竹生町町制100周年おめでとうございます。私たちbeni5はこのライブを持って卒業しますが明日からまた新しい何かになっていきます。竹生町も100周年の節目で。新しい竹生町になるよう期待し渾身の力を込めてこの町にエールを送りたいと思います!、、、じゃぁ、始めるよ!」




+ + + + + + +




「こんにちは!いつも心にやすらぎを、あなたの近くのそっとよりそう、癒し娘のひなつです。」


「いつも気持ちは大きな青空。気持ち良くあなたを包んであげる。爽やか娘いぶきです。」


「胸がドキドキ、心ワクワク、いつも真っ赤なハートをおすそ分け、リーダーのあさひです。」


「淡クトキメクピンクノ気持チヲ、アナタノハートニ届ケマス!初恋カラーノさくらデス。」


「あなたの光をいっぱい浴びて、すくすく育たまんまる果実。心にオレンジ柑橘娘のマキノです。」


『5人合わせて、beni5!』




『どぉおおおおおおおおおおおん!』




♡会場は大きな熱気につつまれている、3年間待ちに待ったファンがそれぞれの思いを一気に吐き出して、一般の竹生の人たちもつられちゃって!5人揃ったオーラーはとても眩しかったの。

もう、目を開けていられないくらい、やっぱりこの子達は本物のアイドルだって気付かされたわ。


 これは会場だけのことでは無かったの、インターネトを介してこれなかったファンたちがbeni5の最後の勇姿をみている。

すでにあさひたちの用意したサーバーがダウン寸前だったのね。必死にサーバーを維持する東京チーム、沖縄で急遽サーバーを借りてデータを分散して援助する沖縄チーム。あさひ達の会社の社員達も、竹生のスタッフのようにbeni5と一緒に必死に戦っていたわ。♥





「じゃぁ、一発目いくよぉ、サマーメモリーズ!」





♡5年前に大ヒットしたあの曲のイントロが流れてきたの。♥

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