第47話 トラブル



♡高速を走っていた「べ号」竹生まであと少しの所で高速道路はノロノロ運転に。道路の電光掲示板には「この先事故」と表示されていたの、通り抜けるまで40分の表示。これじゃbeni5のラストライブに間に合わなくなっちゃう。


 ステージ上ではマジックショーが開かれている、観客たちは生で見るマジックの凄さに魅了されていたの。莉央は次の打ち合わせを含めて、ステージ袖から離れてあさひたちの控え室に顔をだしたの。♥




「みなさんお疲れさまです。beni5さんは次の出演おねがいしま、、、す。姉さん電話中?」




♡3人は莉央にあさひが電話をしているジェスチャーをしたの♥




「マキノ!あとどれくらいかかりそうか解る?」



「そうか、渋滞抜けるのに40分かぁ。わかった、無理しないで帰ってきて。あんたの無事な顔が見たいんだからねっ。いいよ、こっちは任せておいて。」




♡あさひがマキノから連絡を受けて肩をおとしたんだけど、beni5の出演まであと40分を切っていたの。♥




「高速で事故だって抜けるのに40分かかるらしいって。ちょっと間に合いそうにないわね。仕方ないわたしたちだけでやろう、マキノのために。」


「えっ、マキちゃん間に合いそうにないの?」


「莉央これだけは仕方ないよ、もとより四人ですることも考えていたんだから、マキノが無事だっただけでそれだけで十分だから。」


「うん、四人だってできるわ。迷惑かけたこの街の人たちのためにも頑張らなきゃね。」





♡四人がマキノ抜きでラストライブをやろうと決意したとき、舞子があさひの肩を叩いてこう言ったの。♥





「あさひちゃんたち、先にわたしを歌わせてくれない?」




♡それでは大トリの近江舞子がまるでbeni5の前座になってしまう。あさひたちはそんなことはできないと舞子に話したの。♥





「ダメです!舞子さんは今をときめく大切な歌手です。それじゃ、今日で終わる私たちの前座なっちゃうじゃないですか!」



「ねぇ、会場見た、ほとんどbeni5のお客さんだよ、私だってあなたたちが終わったあとに帰るお客さんの前で歌うのはイヤよ。なんとか、時間を繋がせて、それに。マキノさんはこの街のヒロインでしょ。花をもたせてあげたいじゃない。」



「舞子さんいいんですか?」



「これで長浜さんへの恩返しができるならそうさせて欲しい、ネット配信のことはわたしから社長に連絡しておくわ。社長もそういう理由ならNOとは言えないでしょ。ねぇ、司会者さんプログラムの変更ってできるかしら?」



「わ、わかりました、マキちゃんのために、ありがとうございます!姉さん、私進行に掛け合ってみます。なんとかそれできるようにしますから、お願いします!」




♡莉央は現場の音響に相談したあと総管理の役場に連絡を、そう父親の一夫のスマホに電話を入れたの。♥




「もしもし!お父さん!あのね!ちょっと相談、いや、そうして欲しいことがあるの!」



「あっ、莉央、お母さんよ、司会はうまくいってるの?」


「あれなんでお母さんが電話にでるの?母さんも最後にステージに上がるんでしょ。」


「うん、お父さんが不眠不休で頑張ってくれているから、応援で役場に詰めていたの。変わろうか?」


「お母さんまで、ありがとう。うん変わって!」


「莉央、莉央か!どうした!何かあったか?」




♡それは莉央のことを心配している父の声だった。莉央は近江舞子とbeni5の入れ替えのことを一夫に報告したの。♥




「うん、現場ステージの変更はいぶきさんたちが動いてくれて、プログラムの入れ替えはできそうなの、そして近江舞子さんも事務所に連絡してくれて問題ないって。ただ、プログラムが変わっちゃうから役場の放送網で変更を告知して欲しいの。おねがい!じゃないと近江舞子さんの時間に合わせてくる人に迷惑かかっちゃうから。」



「わかった、なんとかする。莉央、現場を莉央の司会でプログラムの変更を観客に伝えてくれることはできるか?」



「うん、平気!私には現場のこんなに強い女神様たちがついてるから、こっちは任せて。おとうさん、、、、、がんばって!」




♡莉央は一夫にそう伝えると電話を切って、司会者の顔にもどったの。♥




「オッケーよ!役場もプログラム変更を告知してくれるって。近江舞子さんお願いできますか?わたしステージにもどるので、舞子さんに合図しますから。」



「じゃぁ、この近江舞子、beni5のお姉さんたちのために最後の花道を作っておきます!」





♡莉央と舞子が舞台袖に向かって部屋を出た直後。入れ替わりで浜、洋子、日吉たちがbeni5の控え室にやってきたの。♥





「あさひちゃんたち、ここやったんやね。」


「あっ、おばーちゃん!日吉さんまでどうしたの?あのこちらの方は?」


「ほうか、初めてやもんな、莉央ちゃんのお母さんで洋子さん、ミス弁天のプレゼンターで呼ばれてるんや。莉央ちゃんと一緒で洋子さんもミス弁天なんやで。」


「あさひさんたちですね。はじめまして、わたし莉央の母親の洋子ともうします。いつも娘がお世話になっていまして。本当にありがとうございます。」


「ああっこちらこそ!莉央さんにはお世話になっています。あっ、ついさっき莉央さんついさっきまでここにいたのですが。なんか地元のために頑張っています、おかあ様も応援してあげてください。」




♡あさひと洋子はお互いに頭を下げあっているね。そして日吉があさひたちに何か困っている事を聞いたの。♥




「みんな困っているとこ無いかい?

俺も母さんも手が空いたから夜のイベントの手伝いに回ろうとおもったら、ほぼ終わりかけているんだって。

 だから、こっちで何か手伝えないかなって思ってさ、それに母さんと洋子さんが最後に舞台に上がることになってるから連れてきたよ。」


「えっ!おばーちゃんも何かするの?」


「浜さんもミス弁天よ。」


「おばーちゃんもミス弁天だったの?」


「昔のことや、もう忘れたわ。」


「すごーい、さすが、わたしのおばあちゃん!」


「あさひまたおばーちゃん独り占めする!」


「あはは、ごめん。手伝うことかぁ、そうだねぇ、特に思いつかないけど。」


「アノ日吉サン、マキノガコッチニ来テイルノデ、衣装ヲ持ッテ行ッテモラエマセンカ?」


「えっ、マキノの衣装をかい?」


「ハイ、途中車ノ中デ着替エラレタラ時間ノ短縮にナリマス!」


「あっ!そうか!コッチに来る間に渡せたら、着替える時間がいらないものね、さくらちゃんったら頭いいもん!きゃぴっ!」(←ぶりっ子いぶき)


「それより、マキノは太って無いだろうねぇ。こんな時間じゃ衣直しできないよ。」


「そん時はそん時よ!日吉さん、マキノたちを迎えに行って、出会ったところでこれを渡してもらえませんか?」


「よっしわかった、えっと、そしたら優の携帯に連絡して持って行ったらいいんだな。」


「おねがいします!」




♡やれやれ、ホント総力戦だね。日吉は浜たちを送ってきた車でそのまま北に向かって衣装を持って行ったの。

 その頃マジックショーも終わり、莉央の最大の見せ場がくるわ。うまくスケジュール変更を伝えられるといいんだけど。♥

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る