第41話 現人神



 高速に乗って彼と話している、神界のこと、精霊のこと、言霊のこと、彼はすんなりと理解してくれていた。そこに高天原本部からの連絡が入ってきたの。

 

 これ以上人間に関わることは禁忌となり、わたしの産土神としての称号剥奪になるって、そんなことは始めから腹をくくってしたこと、

それより驚きのことを知らされるの。


 私のとなりで運転している、優作が神使でなくて、2000年に一度生まれてくる現人神だってこと。


 そう、彼は生まれ持っての神。安曇川優作という人間の中に入っていることで目覚めていないだけ。あの時、琵琶湖で力を発揮したのも、彼自身の内なる力が永吉の力を呼び寄せたものだったの。


 生きては王となり、肉体が滅びてからもずっと名を残すことのできる高貴な存在。位もわたしよりずっと上なんだけど。わたしは禁忌を犯すことで、かれからその力も奪おうとしている。




「あのね。一つ聞いても、かまいませんか?」


「あれ、どうしたんですか、急にあらまってしまって。」


「あなたに本当のことを言わないといけなくなりました。」


「さっきから度肝を抜かれていることばかりで、何を言われても平気ですよ。」


「ありがとうございます。じつは、あなた様は現人神で、、、」


「なんですか?それ。いたって普通の人間ですよ、ちょっとだけかわっているかもしれませんが。」


「あなた様は生まれ持って神なんです。それも私たちよりも強い力をもった。」


「そんなわけないでしょ。」


「いいえ、まだ、その力に目覚めていないだけです。」


「その力を使えばマキノが助けられるんですか?」


「……おそらくですが、優作様からその、、、高貴な力を奪ってしまうとになるでしょう。

 あなたには信長や、家康のようにこの国を支配できる力があるのです。でも、マキノを救うことで現人神の力を失ってしまうことになります。

 日本中が自分のものにできて、末代まで称えられることができる力を失います。」


「日本中をですか。でもそんなものに興味はありません、好きなひと一人も守れなくて、日本も何もありませんから。」


「じゃぁ、現人神を失ってもいいってことですか?」


「はい、もう弁天様とは会えなくなりますが。俺はそれを望みます。」




 空には太陽が昇りマキノはむくりと起きて駅で始発をまっている、カッパの子も限界で、マキノの姿も時折見えなくなっていたの。


あと少しの、ほんのあと少しなんだよ。おねがい、カッパ頑張って!

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