第40話 禁忌



♡汚い言霊の集った場所は、きれいな言霊が集まる場所に変わっていったの。♥




「おれは知ってたんだ。すまない。」


「そういえば団長は途中から毒子、ごめんマキノさんのことを擁護しだしたなぁ。」


「おれは竹生の役場に勤めている。実際にマキノちゃんと会って話してそんな子じゃないってわかったんだ。それより、お願いがあるんだ。この中でバスを貸し出したり運転できる人間いるか?」


「ああ、おれはレンタカー屋やってる、10人乗り3台でよければ、使ってくれ。」


「おれは、京都で人材派遣やってる。何人か貸すことは可能だ!」


「おれは、貸出しできるものないが、大型運転の免許がある!」


「俺は………」




♡光を取り戻すことができたサイト住人に変化がおこっていたの。それは今までマキノを罵倒していた人間が、自分の力を提供しだしたの。罪滅ぼしの面もあるけど、でもマキノに対する謝罪の方が強いみたい。♥


「ありがと、こちらから会社に連絡させてもらうわ。あとの人はマキノちゃんへのバシングを止めさせてくれ。頼む!」







♡日本中から気持ち悪い空気が消えていく、でもまだ安心はできないの。


 いまだにマキノを包んだ闇だけが切り離されて、マキノの命を狙っているの、それを地元の精霊にを取り憑かせて守らせているんんだけど、その体力も限界を超えているわ、いまだに結界をはってマキノを守っていること自体が奇跡なの。


 でもそう長くはもたない。私は最後の手段に出たの、そうこれは禁じられた行為。私が産土神をやめるか、操った人間の命を絶つかどちらかの行為なの。♥





「ばぁちゃんたち、なんかマキノのことで情報あったか?」


「おお、優か、おまえずぶ濡れじゃねーか!」


「優作それがないんよ。もう日も落ちてしもたし。携帯もつながらへんし。それより雨降ってるんか?」


「そうだよ、浜さんバスタオルかなんかないっすかね。マキノも濡れてるかもしれないんで。」


「わかった、優作ちゃん、ちょっと待って、着替えを用意しとくわ、ちょっとだけ、待ってて。」


「おい!優、飲んでけ!味噌汁だ!」


「日吉さん助かります!」


「おまえも、着替えてけ。」


「俺は平気っす!それより、なんか食わせてくれませんか?」


「わかった。おでん好きなだけ食っていいぞ!」





♡優作が急いでおでんを胃の中に収めている、私はそっと優作の前に立ったの。


「食べながら聞いて、マキノの居場所を教えてあげる。ただ、もう私と会えなくなるけど、いい?」


「知ってるんですか!教えてください!会えないってどういうことですか?」


「それは後で説明するわ、時間がないの。これはあたなしかできないのよ、マキノの命を守って、おねがい。わたしの子供の命を!」


「わかりました。」


わたしは1500年間ここで暮らしたことを誇りにして産土神をやめる決心をしたの、なによりマキノ命だけは助けたかった。イザナギ様もそのことは了承してくれた。失脚したわたしの代わりにまた新い神様が来ることになるだけだ。」♥





「優、だれと話してるんだ?」


「優作くん。用意できた、これマキちゃんの着替え。外は雨やろ、よかったら弁天味噌の車使って。」


「いいんすか?」


「優作、ちゃんとマキノちゃんを守ったるんやで、ええな!」


「ばーちゃん、わかってる、マキノは俺にとっても大事なひとだから。」


「おい、優!おにぎりだ、持ってけ!」


「じゃぁ、行ってきます!」





♡優作はいつもマキノが配達で使っている軽バンに乗り込んだの。そしてわたしの指示通りに北へと向かって車を走らせているの。♥




「優作ちゃん、おねがいや、マキノちゃんを探しておねがい。」


「浜ちゃん心配あらへん、あの子は昔から不思議な力をもっていてな、小さい時からうちらが見えへんもんとようしゃべっとった。

 きっと、優作にはマキノちゃんの行方が見えたんやろ。信じて待ってよ。」





♡優作がハンドルを握る横にわたしは座ったの、優作も驚いたりしなかったわ。


信号を全部青に変えて高速道路まで誘導して車を北に向かわせたの、時間は深夜3時、マキノはインターネット喫茶店でカッパの子と一緒に眠っている。

 カッパの力がなくなった時、もうマキノのことが見えなくなるの、だから急いで!♥

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