第39話 告白





♡4人がカメラの前に立つと、その姿はリアルタイムで自社のサイトと、

ニコチューブに、ライブ映像でアップされていく。

それは、事実を知らないものが驚くような内容だったわ♥




[「みなさん、こんばんは。私たちbeni5です。

活動休止になってから早3年の月日が経とうとしています。

突然ですが私たちbeni5は急遽、解散コンサートを開催することになりました。

 

 もう、ネットでご存知だとおもいますが。高島マキノの件についてここに真実を包み隠さず語りたいと思います。


 この内容は、当社サイトでのライブ放送。ニコチューブにおいてはストリーミングでもご覧いただけます。ぜひこれから話す内容を拡散いただけますようおねがいいたします。」]




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♡午後5時その放送は突然始まったの、いろんなネットニュースでマキノの今を騒がれていて、地上波のニュースまで、好奇心がマキノを追い詰めていたの。


 幸いマキノはスマホが壊れてしまい隔離されたのと、スマホについてるちくわのキャラクターに精霊を憑りつかせたことで、なんとか精神は保たれていたの。


 でも、私がマキノにとりつかせた精霊はカッパの子供。なんのえにしもないマキノに取り付いていられる時間もそう長くない。

 精霊が力尽きてマキノから滑り落ちたとき、マキノを覆っている黒い死神に魂を切られてしまう。そう、時間がないの。♥



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[「まず、世間ではマキノがキャラクターを変えて、私たちbeni5が活動休止に追い込まれたという印象がありますが、それは間違いです。

 

 私たちの事務所はタレント合わせて7人で活動していました。私たち自身、経理や広告を自分たちで行っていたのです。なぜ、あれだけの活動ができたのかというと、天才的なディレクター兼社長がいた他なりません。


 彼は精力的に、営業やコネクションを使い、わたしたちを育てながらテレビの人気者に押し上げてくれました。」]



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「おい、リーダーな何か発表してるぜ!」


「おい何言ってんだよ」


「えっ、解散ライブやるの!」


「毒子も来るのか!バッシングしてやろうぜ!」




♡私が気持ち悪くて近寄れない闇の言霊もなんだかザワつきだしているわ。お前ら!早くそんなこと止めないと本当に自分の心が腐ってしまうぞ!♥



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[「わたしたちが人気絶頂だった四年前、突然わたしたちを引っ張ってきてくれた社長が亡くなりました。その後、わたしたちは活動していくかどうか悩みました。話し合った結果、社長が残してくれたこの会社を継いでいこうという話になったのです。」]



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「えっ、そんなこと初耳だなぁ。」


「てか、事務所タレントはbeni5だけだったのは知ってるけど。」



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[「社長という強い推進力を失ったわたしたちは、次第に人気も下火になってきました。次々に現れる新しい人気者たちの陰に隠れて行ったのです。

もちろん、この業界では当たり前のこと、わたしたちも7年間という長い間、第一線で頑張らせていただきことができたことを誇りに思っています。



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「そっか、beni5も苦しかったのかぁ」


「とはいえ毒子の暴走とどんな因果関係がるってんだ?自分だけ生き残りたかったんだろ?」



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[「仕事が減っていく中で、わたしたちは人気浮上のカンフル剤として、その当時は流行りかけていた毒キャラを誰かが演じることに決めたのです。そしてマキノがbeni5が浮上するきっかけになるならと言って、その役を受け止めてくれたのです。もともとおっとりしたマキノは無理して慣れない毒舌キャラを演じて毎日辛そうでした、次第にあの明るいマキノから笑顔が消えていったのです。」]


「えっ、あれって自分だけ、芸能界で生き残りたいからやってたんじゃねーのかよ!」


「う、うそだろ。」



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[「マキノが苦労していた、毒舌キャラも一月で芸能界で消費されて、仕事も激減していきました。日に日にやつれていくマキノにわたしたちはいたたまれない気持ちでいっぱいでした。それに追い打ちをかけるように、テレビインターネットからのバッシング。しまいにはマキノの殺人予告まで。まきの、精神はとっくに壊れていました。わ、わ、わたしたちは。。。。。すみません。」]



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「あ、あさひが泣いてるぞ。おいおい、どういうことだよ!」


「おれは、何も知らないのに、ネットの噂で、マキノをバッシングしてたのか?」



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[「そして、わたしたちは活動休止を宣言したのです、ひどく怯えてもう外に出ることさえできなくなったマキノをわたしたちは寮で寄り添いました。半年間、いつもわたしたちのために料理をしてくれていた、お母さんおような優しいマキノが戻ってくれるように寄り添ったのです。


 わたしたちのことは半年でもう噂にもならないようになりました。秋が過ぎ、寒い冬が来て、そして桜舞う春には、マキノは元のマキノに戻ってくれたのです。


 バシングが無くなった時に真実をみなさんに明かそうとしました。でもその時、マキノがそれはやめてほしいと言いだしたのです。きっと公表することでまた次の犯人探しが始まる、それならそのまま自分が十字架を背負うと。


 バッシングされるべきなのはわたしたちの方です。ま、ま、まきのは、いつもみんなのために、や、や、さしくて。もう私、辛くて言えない。。。」]



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「俺たち、なんてこと、してしまったんだ。」


「おれ、おれ、マキノに対してひどいことばかり言ってしまった。」



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[「リーダーのあさひにかわって俺が言う!米原いぶきだ。そうなんだよ、あいつは全部自分で背負っちまってさ。桜が咲き乱れたころ、マキノも落ち着いたところで、俺たちはインターネットを使ったビジネスをすることに決めたんだ。そう、この「ネルカリ」のことだよ!


 俺たちは前社長のもと、アイドルをしながら、企画、運営、経理、広告、フツーに会社にあるビジネスをみっちり叩き込まれていたんだ。社長の残してくれたビルと、資産を使って会社を越したんだ。俺たちがマキノに一緒に会社をしようともちかけたら、あいつだけ、俺たちの元を離れていったんだ。なんでかわかるか?


 新しく船出する、俺たちに汚点をつけたくなかったから、自分から身を引い担だよ!ネットでキモいことばっか言ってるやつらのせいでな!お前ら!マキノの気持ちも知らないで。傷つけやがって!あいつはみんなのために必死になっていたんだよぉ!バカ野郎がぁ。。。」]



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「あの、かわいこぶりっこのいぶきがこんなに怒ってるなんて。」



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[「いぶき、おちついて、怒ったらダメ、いい。ここからは彦根ひなつが話します。それからマキノは私たち4人のもとを離れて短い自分探しの旅に出ました。マキノがたどり着いた先は、本当にマキノと縁のあった地元だったのです。マキノはそこで地域の人の優しさに触れ合いながら、お味噌を作ることになったのです。


 寒い日も、暑い日も、美味しいお味噌を食べてもらうために。必死に頑張りました。あのこはいつも人が喜んでくれることを幸せにして頑張っていました。

 

 5人で暮らしていたときも、朝夕と食事のバランスを考えて私たちにご飯を作ってくてていました。年齢も変わらないんだけど、まるでお母さんのように私たちの面倒をみてくれていて、本当に、本当に、優しい子なんです。


 そんなマキノが失踪してしまいました。理由はもうみなさんご存知だとおもいますが、必死に愛情を込めて作ったお味噌を、毒入りとかいわれて。。。ま、ま、まきのは、いま、一人でどこかに、い、います。



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「・・・・」



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[「ひなつ大丈夫?泣かないで。海図さくらデス。そう、みなさんニはマキノが今まで必死ニ人の為に生きていたことだけ理解してホシイイノデス。だから、いまここで真実を話しマシタ。お願いがありマス、このままマキノを放っておいたら自分で自分を傷つけてシマイマス。デスカラ、みなさんでマキノを守ってもらいたいのデス。

 バッシングしたことをとがめることはしません。ただ、マキノが無事に帰ってきてクレルことがそれだけが、私たちの願いなのです。



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[「みんなありがとう、もう大丈夫。あらたあさひです。わたしたちは迷惑をかけてしまった、弁天味噌さんの名誉回復のために、急遽竹生町町制百周年のイベントに参加させていただくことになりました。実質それがbeni5としての最後の活動になります出演時間は未定ですが。ぜひ、その百年祭におこしください。そして、行方の分からないマキノが帰ってこられるように、もう、バッシングはやめてください。それが私たち4人からの謝罪と、おねがいです。」]



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「まきのちゃん、、、ごめん。」


「俺は何も知らずに何てことしてたんだ。マキノごめん!」


「ごめん!」


「許してください!


「ごめんなさい!」


「ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん」


「ちっなんだよつまんねーなぁ。こしぬけども、よそ行って炎上さがそ。」




♡日本のあちらこちらでくすぶっていた黒い炎が消えていく。


 汚れた言霊たちは、ごめんという言葉で汚れを落とし、綺麗なものに変わっていく。ああ、人の力ってこんなことできるんだ。


 なんて、やさしい時間なんだろう。私は神となってから初めて人が人を綺麗にしていくさまをみているわ。♥





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