第37話 マキノ失踪
♡はぁはぁ、ひどい奴らとは縁がきれたけど、かなりマキノの気持ちをズタズタに引き裂いている。なにが起こるかわかんない状態。♥
「べんてんさま。おらのこと呼んだか?」
「あなたはいつぞやのかっぱの子?」
「あの時はありがとうごぜえました。んで、この
「そうよ、かっぱの子!そのへんちくりんなマスコットに取り付いて結界を張ってその女を守るの!いい!できる?」
「おいらを助けてくれた、べんてんさまの言いつけなら頑張ってみるだ。」
「いい子ね。あんたの両親には言っとくからその女を守るのよ!これ以上悪い言霊が付かないようにね。」
♡さぁマキノ、家に帰ろうね。そのまま2本あと来る電車は直通で帰ってこられるから。♥
「ちくわくん、ごめんね、投げちゃって。痛かったよね。ごめんね。わたし、もう終わりかなぁ。みんなにまたひどいことしちゃった。もう終わりだぁ。」
♡何言ってんの!もう大丈夫だから。その取り付いた黒いのを追い払って家に帰るの!いい!♥
『次は二番線に金沢行きの特急が停車します。白線の内側に下がっておまちください。』
「ちくわくん、二人っきりになっちゃったね。一緒に行こうか。」
♡マキノ、ちょっとバカなことはやめなさい!マキノ!だめ、そっちに歩いていっちゃ!だめ、おねがい、やめて!止まって!行っちゃだめ!そっちは。かっぱ!その子の足を止めなさい!♥
『ずるっ!バタン!』
♡マスコットに入ったかっぱの子供は力をつかって、マキノのヒールの片足を滑らせたの、電車がホームに滑り込むちょっと前にマキノは転んで、線路に落ちることだけは助かった。
そして、マキノは夢遊病の患者みたいに電車に乗り込んだの。それに乗っちゃだめ!わたしがあんたに影響を与えられる範囲外になっちゃう!♥
『プシュー。ガタン、ゴトン!』
♡生きる希望を無くしたマキノが席に座ると、ぼーっと外をみている。
マキノは1000円で買ったちくわのマスコットを握りながら。苦労してやっと辿り着いた竹生の町を通り越してしまったの。
電車は大好きな町をすり抜け。マキノの知らない先に進んでいく。
それからしばらくしてマキノからの電話にみんなきづいたんだ。♥
「あれっ、マキノからだ、なんの用かな!」
「あれっ、私にも、俺にも、ワタシにも通話履歴が?」
♡会議中に電話を別室において電話に出ないルールのあさひたちがマキノの電話に気付いたのがそれから一時間後の午後1時だったの。♥
「えっ、マキノちゃんから、何やろ?、うちにも着信がきてるわ。あっ、わたしにも姉御から。」
♡浜たちは飛行機を降りて京都行きのバスに乗る所だったの。全員にマキノからの着信があったのに気付いたのが、午後1時5分。先にこと次第を聞いた莉央は父である一夫を罵倒したの。
親子の縁を切るくらいのキツイ言葉でね。♥
「お父さんなんて一生許さない!ネットでマキちゃんを罵倒するサイトを開いてたなんて!」
「マキちゃん、今どこにいるのよぉ!出てよ!電話に!」
「えっ、なにこれ、マキちゃん!そんなの嘘でしょ!おねがい、電話に出て!」
《みんなに謝らなきゃ。おばあちゃん、あさひ、ひなつ。。。莉央、優くんさようなら。わたし、どこかに遠いところに行きます。おかあさん、あいたいよぉ。》
「お母さんに会いたいって、なによ、そんな悪い冗談言わないで!。マキちゃん!マキちゃん!、姉さんこのこと知ってるかな?」
「あっ、姉さん。マキちゃんから連絡とか無かった?」
「えっ、それがなんど電話しても圏外なのよ。」
「おい!あさひ、これ見てみろよ!」
「なにこれ!なんで、マキノが叩かれてるのよ!」
「姉さん、知ってるの!」
「いや、いぶきがネットでマキノことで荒れてるの今教えてくれたの。てか、くそどもめ!。莉央はマキノと連絡できないの!」
「わたしもだめなんだよ!全然電話に出てくれなくて!」
♡マキノとあさひが電話で話していると、ひなつの携帯に浜から電話が入ってきたの。♥
「ひなつちゃん、マキノちゃんから、連絡あった?莉央ちゃんも、あさひちゃんも連絡つかんから電話したんよ。」
「今、あさひと莉央ちゃんが話しています。マキノがインターネットでひどいこと言われて。それで、電話で探しているんですけど、見つかんなくて。
何かあったら、おばあちゃんか、珠さんか、日吉さんに連絡いれます。そちらからも何かあったら。四人の誰でもいいので連絡くだだい。」
♡みんなの間に緊張の糸が走る。
マキノとつながりのある人間には、必死に誤解だと弁明する書き込み主の文面からはすぐにマキノ本人だとわかったの。♥
《みんなに謝らなきゃ。おばあちゃん、あさひ、ひなつ。。。莉央、優くんさようなら。わたし、どこかに遠いところに行きます。おかあさん、あいたいよぉ。》
ってどういうことよ。。。
「まきの!バカなことはよしてよ!ねぇ、なんだよ、なんでマキノばかりいじめるのよ!」
♡ネットの情報は半日で実行委員、そして竹生の人に届いたの。
マキノを知ってる人ならそんなこと信じる人間なんていないわよ!もしかたら帰ってきているかもしれないと、町中総出でマキノを探してくれたの。明日に祭りが控えているっていうのに、そして優作は訓練のあと先輩から聞かされたの。
優作はそわそわしながらデスクワークをしてる、まったく仕事が手についていない優作をヒゲの隊長が見ている。彼の交代時間は午後6時、あと3時間半をただそわそわしていたの。そしてヒゲの隊長が優作を呼んでこう言ったの♥
「安曇川!これから隊長権限で。湖岸警備のパトロールの任を命ずる!報告書は火曜日の出隊時間に提出!わかったか!」
「えっ。隊長!いいんですか?」
「かまわん、そんなに仕事に身の入らん奴を机に貼り付けておいても意味がない!」
「あ、ありがとうございます!」
♡そして同じ勤務の草津もこう言ってくれたわ。♥
「安曇川!俺も勤務が明けたら!探しにいくわ!それまでにちゃんとマキノちゃんを捕まえろ!いいなっ!」
♡優作は席を立ちヒゲ隊長に頭をさげる。出勤簿に隊長権限の印を貰っている間に隊長は優作を鼓舞したの。♥
「マキノさんはこの町の宝だ!レスキューの意地もかけても絶対に見つけろ!
好きな
「隊長、ありがとうございます!」
♡優作は先輩たちに喝をいれてもらい、レスキューの制服のまま、ヘルメットを被って、自分のバイクで湖岸から町内のあらゆる所をくまなくさがしているの。そこに莉央から電話がかかってきて♥
「優ちゃん、マキちゃんが!マキちゃんが!たいへんなのよ。」
「ああ、いま、竹生近くを探している。それより、マキノには連絡取れたか?」
「それが取れないよ!、おねがい、優ちゃん、マキちゃんを探して、おねがい。おねがいだからぁ」
♡ほんの数時間前にマキノに人生の光を見つけてもらった莉央にとって、マキノの失踪は自分の身が切られるくらいに辛かったの。莉央は明日の司会もあるのに、精神的にも追い詰められてボロボロになっていたわ。♥
「莉央心配するな!今度は俺がマキノを救う!だから、お前は安心して、明日に
「うん、優ちゃんおねがい、マキちゃんは私の大切な光だから。」
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