第36話 昼間の闇




「あーこの時間は乗り継ぎ悪いなぁ、あと20分待ちかぁ。

お茶でも買って待ってよーっと。えっ、なにこれ!「beni5の高島まきのさんは今は味噌作りに夢中」って。やだなぁ、こんなのネットニュースにしないでよ!」


「なにこのリンク、「毒味噌って」、やだ、ちょっと!」





♡だめ!マキノ!絶対にそれに触れちゃだめ!おねがい、見ないで!♥





《毒子は今、毒味噌を作って日本人をころそうとしています。》


《高島マキノは弁天味噌を使って食品テロをしています。弁天味噌は買ってはいけません、死にます、殺されます。》


《こんなん、みつけたぁ!発酵食で表彰されたんだって。腐ってるだけだろ!》


《なんかこの板面白いね、もっとプライベート暴露カモン!》





♡マキノみちゃだめだってば!早く電源を切りなさい!♥





「なんで、わたし、なんで今頃。こ、こんな、ぁ。。。。ガタガタガタガタ!」


「あさひ、たすけて!。。。。あさひ電話出てよ!あさひぃ!」


「ひなつぅ!、いぶきぃ、さくらぁ!」


「誰も出てくれない!」





《高島マキノの祖母、今津浜。地元で収賄談合を繰り返す。悪徳詐欺師》


《今津日吉、テロリスト毒子を匿う。調理無免許居酒屋!》


《伊香莉央、いい女、デルモ崩れ!尻軽女!》





「やめて!こんなめちゃくちゃ書くの!」


「おばあちゃん!助けて!おねがい!」


「珠さん。多賀ちゃん。日吉さん。委員長。里乃ちゃん。だれも電話にでてくれない。ガタガタ、ブルブル!だれかぁ、助けて!」





▽おえっ、マキノ!だめ、おねがい、それスマホを捨てなさい!▼





「優くん、おねがい、たすけて!優くん!優くん!」





《毒子はこの世に生きていたらいけない人間。》


《くらい夜道は気をつけな!》


 《おねがいです、こんなバカなことするの止めて!》


《だれおまえ?なりすまし?》


 《おばあちゃんも、莉央も、日吉さんも、みんな関係ない!だからこんな、嘘を書かないで。》


《嘘って、おまい毒子なの?地元って横浜だろ?》


 《それはそうなんだけど。でもこんなのひどいじゃん!》


 《そうだ!おまえら根も葉もない嘘を並び立てるな!》


《えっ。このIDって、団長じゃん!》


《なに、なに?いつからこいつの味方なん?》


 《マキちゃんこんなの、見たらだめだよ!今すぐスマホ消して!》


《なに、毒子をかばって気を引いて大地魔王とかおもってるん?》


《下水ねぇ。うらぎりもん!》





▽ぜーぜー、マキノ、それを捨てるの!持てちゃだめ!▼





《おまえは、もう生きていたらだめなんだよぉ!》


《おまえの命で償っても、罰は残るんだ!》


 《マキノちゃん!だめだ!》





 《そう、わたしがぜんぶ、わるいの。みんなを悲しませてばかりで、全部わたしが。。。》


《そうだぁ。おまえが悪いんだあぁ》





▽やめろ、おまえらにマキノのなにがわかるっていうの!

まきの!もうやめなさい!最低だなおまえら!


 ああ、マキノが小さくなっていく。いじめっ子に囲まれて、汚い言葉で罵られているあの時みたいに。

 

いい大人が、抵抗できない子供を取り囲み、石を投げたり、蹴ったり、叩いたりしてる。おまえら。自分の言葉が凶器ってまだわかんないのか!▼





 《そう、わたしがわるいんだ。みんなごめんなさい。もう、あえないかも。》


《そうだ、おまえが悪いんだよぉ。責任の取り方ってわかるよなぁ。》


 《みんなに謝らなきゃ。おばあちゃん、あさひ、ひなつ。。。優くんさようなら。わたし、どこかに遠いところに行きます。おかあさん、あいたいよぉ。》



「マキノちゃん早まるな!マキノちゃんの電話番号は。。。ああ。莉央なら知ってるよな。莉央早く出てくれよ!」


《おまえは生きているだけで癌なんだ、だから楽になれよ!ほらほら!》





▽おまえら!!!!マキノ捨てろ!持っているものをすてるんだ!、、、

すてろぉぉぉぉぉぉ!▼




『ガシャン!』




「はぁはぁはぁ!あたし、もう、みんなに会えない。あたし、また裏切っちゃった。もうおわりだぁ。。。もう。みんなごめん。嘘つき女で。」


「やっと繋がった!莉央、マキノちゃんの電話番号教えろ!やばいんだ!とにかくやばいんだよ!」


「いったいおとうさんがマキちゃんに何の用よ。あれ?マキちゃんから電話きてたみたい、なんだろ?」


「この電話は電波の届かないところにあるか、電源が切れております。」




▽はぁはぁ。誰かマキノの近くに精霊いるでしょ!その携帯のちくわに乗り移って、マキノを守りなさい!はやく!まきのが黒いものに取り込まれないうちに!▼

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る