最終章 マキノ

第30話 無敵の二人




「莉央ちゃんおかえり〜!」


「はぁ、疲れタァとか言ってらんないよね!もう明々後日しあさってだもん。」


「まぁまぁ、一杯どう?わたしからの奢らせてもらうわ。」


「ありがとう、マキちゃん玉子焼き食べたい、お願い作ってぇ。」


「いいよ、ちょっと待っててね。」




♡莉央がDJ講習から帰ってきた夜、とりあえず居酒屋日吉に立ち寄ったの、ちょっと疲れが見えるようだけど、でも3日後に控えたイベントの総合司会を務めるために気持ちを整理しているみたい。


 向こうであさひと会っていて、だいぶプレッシャーを緩和してもらったみたいね。♥





「あっ、姉さん元気だったよ。マキちゃんによろしくって、8月1日から沖縄だって土産買って送るってさ。」


「イベント当日かぁ、社員旅行って言ってたもんね。あさひ夢をかなえたんだね。」


「えっ、社員旅行が夢なの?」


「そらそうよ、同じ仕事しているもの同士、違う場所に行って、食べて、飲んで、歌って、笑って。昔よく五人でいろんな地方回ったなぁ。」


「そうなんだ、ちょっと姉さんが羨ましくなってきた。」


「ねぇ莉央ちゃん。百年祭終わったらさ二人でちょっと旅行しない?いろいろ大変だったんでしょ。ゆっくりしようよ。」


「ホント!行きたい!よっしゃ!なんかそんなご褒美があると思うと、俄然やる気になってきたよ!」





♡日吉がちょっとした小鉢を莉央の前に差し出したの。莉央は喜んで日吉がだしてくれたものを頬張っているわ。♥





「いいねぇ、じゃぁ、これは俺からだ、莉央ちゃん、頼むぜ!」


「まかしといて!」


「今日は静かだね。みんなイベント前で忙しいのかな?」


「実行委員会の街並み照明班の人たちはなんだかバタバタしてるよ。1万個のカプセルボールに入った電球のチェックだって。」


「そうなんだ。みんなも大変だ。あれっ、浜さんが居ないのね。」


「うん、弁天味噌も社員旅行中なんだ。」


「えっ、ほんと!あっ、発酵食グランプリで優勝したってやつ。」


「そうそう、今頃おばあちゃんたちみんなで鹿児島で温泉にでも浸かっているんじゃないかな?」


「マキちゃんは行かなくていいの?」


「だって、明後日あさっては大阪でイベント告知じゃん。」


「ああ、そうだった。被っちゃったんだ。」


「表彰式は前日なんだけど、朝一の放送に間に合わないしね。」




♡マキノのスマホに着信の知らせが。

それは農大生バイトの多賀からの写メだったの、鹿児島について観光地を巡って、そして砂蒸し温泉で珠が寝ている顔の写真が送られてきたの。


二人は喜びながら多賀が送ってくる写真を楽しんでいたわ

そして、マキノの携帯に通話の着信音が。♥




「もしもし、おばあちゃん。  うん、今見たよ!みんな楽しそうでよかった。  おばあちゃんも砂風呂に入ったの?。  そうなんだ。  ゆっくり楽しんでおいでよ。  こっち?日吉さんと莉央ちゃんとあたしだけだよ、みんなお祭りの準備で忙しいみたい。  うん、  わかった。  じゃあ、当日ね。  多賀ちゃんにまた写真見せてって言っておいて。 じゃあ、おばあちゃん、弁天味噌の表彰おねがいしますね。  うん、おやすみ。」




「ふふふ。」


「なによ莉央ちゃん、なんかおかしかった?」


「姉さんみたい、マキちゃんも弁天味噌の社長さんみたいだね。」


「そっかなぁ。」


「お互いがんばろうね。」


「うん。」


「じゃぁ明後日は6時に竹生駅で集合ね。頑張ってPRしなきゃ!」


「私たち二人だったら無敵だよ!きっとうまくいくわ。」


「あの市長が緊張しなかったらいいけど。」


「その辺は、二人でフォローしましょ。」




♡無敵の二人か、そうかもねあんたちが一緒ならなにも問題ないわ。頑張ってアピールしておいで。♥

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る