第25話 試験
♡結局ベンガラ太郎の不祥事によって、近江舞子が出演してくれることになった竹生の面々。
虎姫と長浜社長の過去が近江舞子と繋がりがありそうで…虎姫はその関係を
当時を思い出して話しはじめたわ。
5年前、虎姫が再就職で訪れた、beni5の事務所でのこと♥
「ああ、君がぁ、虎姫くんかいな?おっとこ前やなぁ。どれ、わしに目ぇをみせてみぃ。」
「社長ちょっとその、わたしはそんな!」
「なんや、わしは男色やないで!、それより、なんでも吸い込むような黒い瞳孔しとんなぁ。よっしゃ、ほな、ツブレ企画に近江舞子って演歌歌手がおるんやけど、こっそりこれを渡してくれへんか?」
「はい、これは何ですか?」
「おお、やばそうなことをズケズケと聞くやないか!なかなか根性すわっとんな。これは彼女に送るラブレターや、中に現ナマで500万入っとる、ちゃんとわたすんやで!」
「えっ、そんな大金。。。は、はい、わかりました。」
♡虎姫は近江舞子が地方でのお祭りイベントに呼ばれているのを聞きつけ、そこに出向いて彼女がフリーになるのを待っていたの。まだ人気がない時代だったからいとも簡単に彼女と接触することができたの。♥
「あの、近江舞子さんですね。こちらをとある人からあづかってきました。お受け取りください。」
「えっ、あっ、長浜さんでしょ。あは、あははははは。」
♡公演が終わった駅で舞子はその封筒を受け取って、なぜか笑っていたわ。♥
「あの、なぜこれが長浜から届けられたとお分かりだったのですか?」
「そうね、ちょっとあの喫茶店でも入らない?」
♡近江舞子と虎姫が人もまばらな喫茶店に入ると、舞子は目の前で封筒を開封して中身を確認してい。そして目の前の虎姫に向かってこう聞いたの♥
「あなた500万円って現金で見たことある?」
「いいえ、そんな大金は。」
「でもそれ以上の権利がここに入っているわ。」
「権利ってなんですか?」
「あの社長の下で働けるなんて、あなた凄くラッキーだよ。」
「でも、採用試験もまだですし。」
「ちゃんと、合格よ、ほらご覧なさい。」
【虎姫くん、無事に信用獲得おめでとう。貴殿を盆梅プロジェクトの社員に認めます。】
「んだぁ、ごの紙はぁ。すみません、つい驚いて方言がでてしまいました。」
「だいたい、500万円のお札がこんなに薄いわけないでしょ。」
「あなたの、採用試験だったのよ、大金をちゃんと届けられるかっていう、信用のね。」
「そう、一郎さんから電話があってね。今度採用したい男がいて、そいつをわたしのところによこすから、その時は飯でもおごってやってってね。」
「ということは、わたしは長浜社長に
「そうよ、まんまとね。」
「あの狸親父!」
「いいじゃない、それだけあなたを信用してるってことよ、ふふふ、おかしい、そうだ、なんか食べる?お腹へってるんでしょ。
わたし、近江舞子よろしくね、知ってるとおもうけど。」
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「そんなこんなで、おらは、舞子の付き人兼マネージャーになったんだ。」
「えっ、でも近江舞子さんはなんとか企画の契約だったんでしょ。」
「ああ。ツブレ企画だな。もうあの会社もエグいことばっかして負債でパンパンだったんだ。だから、舞子さんにはマネージャーすらついていなぐてな。営業からなんまで自分でやってたんだ。」
「ええ!じゃぁ、社長は会社を飛び越して近江舞子を応援してたってわけ?」
「んだ。あの二人には、なんか絆みたいなもんがあるみてーだが。おらもそこまでは知んねー。」
「社長がそんなことを。」
「んでなその時に、いま近江舞子が所属している会社も不況のあおりを受けて倒れかけたんだ。ちょうどbeni5が絶好調のころだ。
長浜社長は資金を集めてその会社に援助したんだ。その条件は、近江舞子をひぎぬぐことと、貸した分は………あさひ、マギノ、おめぇらに分配するって条件でだ。」
「えっ、うそ。社長が残してくれたお金って、そういうお金だったの。」
「んだ。亡くなる前に社長はオラの前でこう言ってただ。」
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「あー、あの子らにはほんまいっぱい夢をもろたわ。
虎姫くん、じつはわしはもう先が長ないねん。これは冗談ちゃうで、
冗談やったらええんやろうけどな。
もしわしがおらんようになったら、君があの子らを守ってやってくれ。
あの子らは世間を知らん、わしがあの子らを世間から引き剥がしてしもたんや、その後幸せに暮らせるように、あんじょうに面倒みたってくれ。」
「またまた、冗談でしょ。社長」
「ああ、冗談や、でも。もしそうなったら頼むで。」
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「おらは、また社長の悪い冗談だとおもっていたんだ。んでも、たまたま寄った病院で社長を見かけて。横には舞子さんが付き添っていたんだ。」
「それ、ほんとなの。社長、自分の命を知ってって、わたしたちを。」
「社長がなくなる前の日、いぶきから寮で社長の誕生会するからこねーかって聞かれたんだけども。おら、社長とおめぇらだけのほうがええと思って行かなかったんだ。」
「ばか!てめぇ!知ってたならなんでもっと早くいわねーんだよ!、まだまだ、社長には返しても返しきれない恩があるのによぉ。」
「すまねぇ。口止めされて居たんだ、カッコ悪い言い訳だな。」
「もっと早く言ってくれてたら!笑顔でさよなら言えたのに!」
「ちょっと、あさひ、やめて!、虎姫くんもあたしたちと同じ思いだよ!」
♡車の中であさひが虎姫を罵倒している。その背中をマキノと莉央がやさしく撫でている。あさひは大粒の涙をながしながら、唇をかみしめていたの。♥
「社長!おら、言うなって言われたのに、全部話しちまった!馬鹿な弟子ですみません!」
♡ベンガラ太郎が起こした不祥事から、今は亡き長浜のからbeni5への愛情を感じ取ったマキノたち。車はあさひの会社の駐車場で止まったの。♥
「虎姫、今まで内緒にしてくれてありがとな。あんただって辛かったんだろう。せっかくだから、みんなで会うか?上がっていけよ。」
「じゃぁ、委員長、私たちは先に竹生に帰りましょうか、マキちゃんや、ねーさんたちは同窓会みたいだし水差しちゃだめでしょ。」
「ああ、そうだな、ベンガラが近江舞子になっただけでも大金星だもんな。」
「だめよ、莉央もきなって、えっと、委員長さんも来てください。」
♡面前にそびえる20階建てのビル、一同はそのビルを見上げながら中に入っていったの。♥
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