第24話 威光




♡マキノたち5人がやってきたのが、都心にある大きなビルに入っている、タレント事務所だったの。


 所属タレント70名を抱える中堅クラスの事務所だけど、ベンガラ太郎の件でちょっと慌てているみたいね。

 

 もちろんアポなしだったんだけど、受付であさひの会社名を出すとすんなり応接室に案内されたみたい。♥





「ちょっと、あんた凄いじゃない!なんだか、あんたが怖いわ。」


「いい、これは戦いよ、マキノはウンウンと首を縦にふっていたらいいから。」


「ねーさん、かっこいい!」


「莉央もできる風な感じを出して臨むのよ、気負ったら負けだからね。」





♡完全にあさひが仕切っているわね。

まぁ、虎姫も委員長もあさひが全部やってくれているからだいぶ楽できたんじゃない?もしあさひがいなければ門前払いだよ。


 応接室に通され、虎姫、あさひ、委員長がソファーに座り、マキノと莉央が後ろに立っていると、タレント事務所の社長が入ってきたの。♥





「お待たせしました、竹生町町制100周年祭実行委員の皆さん。」


「あっ、あれっ!虎姫さんじゃないですか?お久しぶりです、お元気でしたか?」


「社長、ご無沙汰しております。この通り元気でやらせていただいております。社長の会社もどんどん大きくされているようで。」





♡ん?どゆこと、虎姫とここのタレント事務所の社長は面識あるんだ。どういう関係なの?♥





「あっ、紹介しますね。隣に座っているのが、竹生町のイベントに企画参加していただいている、ネルカリのあらたあさひ社長で、わたしの斜め後ろの女性が、高島マキノです。」


「えええ!あのbeni5の、あああ。そう、そうですかぁ。その節は色々と長浜社長にお力添えをいただいて、本当に助かりました。」


「社長さま私たちbeni5のことをご存知ですか?」


「もちろんですよ!」


「あの時は本当に苦しい時期でしてね、亡くなられた長浜社長がおられなければこの会社はたたんでいた所でしたよ。

 それより、ベンガラの件でお越しになったんですね。」


「そうなんです、小さい町のイベントなんですが、100周年という記念事業も兼ねておりまして、なんとかそのタレントさんを派遣していただけないかと思い、こうやって参上させていただいた次第です。」


「もちろんです。ベンガラの件はこちらの落ち度ですし、それに長浜社長の忘れ形見のbeni5さんたちの顔に泥を塗るわけにないきませんからなぁ。」





♡なんてことなの!虎姫一人で話をまとめに入っちゃった。


仕切る気満々だったあさひはビジネス笑いしてるけど、腹の中は煮えくり返ってるんだろうなぁ。


 それにしても、あさひは本当に社長になったのね、ちゃんと腹芸まで覚えちゃってさ、このあとミラクルが起こるぞ!

誰かが応接室のドアをノックして入ってきたのね。♥





「虎ちゃん!久しぶり!元気してたの、連絡もしないんだから。」


「ああ、舞子さん、こちらこそ、ベンガラさんのことは大変だね。」


「ああ、もうあいつは。本当に、こっちも大損害よ!」


『ええ!近江舞子!』





♡そう、目の前にいるのは、今をときめく演歌歌手の近江舞子。

一同は目を丸くして驚いていたのね。♥





「舞子さんさぁ。8月1日だけど、仕事はどうなの?」


「ああ、マネージャー呼ぶね。」


「えっと、8月2日に福井の狭若だね、だからその移動日になってるわ。」


「えっ、マジで。あのさ、昼から1時間ほど助けてくんない?ねっ、社長もお願いできませんかね?、竹生なんで車で50分ほどですから。」


「近江舞子をですかぁ。うーん。そおですねぇ。」


「社長わたし、出ましょうか?それにそちらの方、実行委員長さんですよね去年はお世話になりました。」


「は、は、はい、い、いつも、来ていただいて、町民あげて、近江舞子さんが来ていただけるのを、心から望んでおります!」


「だめよ、そんなこといったらベンガラ太郎が泣くわ。てか、謹慎してるけど。」


「わかり、ました。ベンガラの件もありますし、100周年という節目でこられておられますので、ただ今年だけ特別ってことにしていただけませんかね?」


「もちろんです!助かります!」





♡ねっ、いい方向に転んだでしょ。てかいまだに長浜の威光オーラが残っているのね。ほんとハンパなかったんだ。そして近江舞子があさひを見てね。♥




「こちらの女性は。beni5のリーダーの新さんですよね。」


「はい、そうです。」


「竹生町さんとはどんなご関係で?」


「はい、後ろにいる高島が、地元の家業を手伝っていまして、弊社もその事業に興味をもちまして。それでご縁があってこのイベントの企画に参加させていただいております。」


「そうなんですね。じゃぁ、余計にわたしも協力しないといけませんね。長浜社長のご恩もありますし、なによりお二人は長浜さんの忘形見ですもんね。」


「そ、そう言っていただけると、助かります。」





♡あさひは近江舞子の背後に、どことなく自分と通じる何かを感じていたのそれが何だかわかんないだけどさ。


 ともかく100周年のイベントの問題はクリアできたね。契約の再見直しの手続きをして一同は社長と舞子に頭を下げて社をあとにしたの。♥




「虎姫さん、感謝です。こうなるって知っておられたんですね。」


「いんや委員長さん、全くの行き当たりばったりだ。あさひがいなかったら、社にも入れてもらえながっただろな。あさひには感謝だぁ。」


「なによ、そんなことあんたに言われると、蕁麻疹じんましんがでるわ!」


「それよりさぁ、虎姫くんって、近江舞子さんと知り合いなの?」


「ああ。知り合いっていうか、長浜社長の指示でおらがあの会社に近江舞子を紹介したんだ。」


「ええ、それってどういうことなの?」




♡一同は驚きの声をあげて。


 あさひはbeni5が絶頂期のころ、長浜社長が他のタレントをプロデュースしていることをに反対しているって詰め寄ったことを思いだしながら

舞子と虎姫の関係について説明をもとめたの。♥

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