第16話 新戦力




 季節は年を越してお味噌作りに厳しい寒い2月をむかえたわ。

マキノは味噌作りに精進しながら新しい味噌を仕込んでいるわね。

そうね……


「あれから。」


 といえば、まず、弁天味噌に若手が入ってきたの。

というのも近くの農大の発酵学を学んでいる女の子が4人、

研修という名のアルバイトなんだけど。いまではすっかりマキノを姉御あねごと慕っているわ。


 彼女たちとベテランの融合、弁天味噌のみんなで後進の教育に精をだしているわね。大学側が発酵学の研修としてバックアップしてくれているのよ。


 そのバックには、虎姫が動いてくれていたんだけどね、とりあえず見事に世代交代を果たして浜はもっぱらお味噌作りの指導に回っているの。




 それから、珠代がスマホの使い方がわからないと大学生に使い方をおそわっている、最近では、自分の踊っている姿をインターネットで公開しているんだけどそれが結構人気なの、太ったおばさんのダンスって。


 マキノは、優作と着々と愛を深め合ってほんともう、ご馳走様っていうくらい。うふっ。




 竹生町100周年もあと数ヶ月に迫り。そろそろ、実行委員の間にも緊張感がでてきたわね。


 それと、平行して進められている「作家のふるさと計画」こちらも、毎週末には県の内外から客があつまりだしたの。


 一番人気は、マキノがいまスマホにつけている、ちくわのキャラクター。あっ、チュロスだったね。どっちでもいいけど不思議なブサイクさが人気なんだって。


 それからぁ何だっけ、あっ、正月休みを使ってこっそり東京で知り合った里乃が遊びにきてたの。厨房に入ってマキノからいろいろと料理をおそわったみたい。



 そして、年明け一発目で大きなニュースが飛び込んできたのね

それは湖北ラジオ(仮名)の創設が企画されていたの。


 言い出しは黒壁町と竹生町に店を構えているスーパーの鳩マート会長が発起人で、じつはその会社の会長は浜の旦那、つまり永吉ね、同じチームでボートに乗ってオールを漕いでいた一人だったの。


 昔のラジオを思い出して、地域貢献として、ラジオ放送を考えていたんだって、これもどうも、背後で虎姫が動いていたみたい。あいつ、長浜社長に似てきてやるじゃん!、この街のフィクサーになってる本当はいいやつなんだね。


 さて、ラジオの開局で番組DJが必要なるんだけど、いるじゃん、バッチリの女が、そして季節は長い冬を越えて、だれもが恋い焦がれた春の季節が竹生に訪れたの。 

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