第08話 消える星




♡たまに事務所に顔を出したかと思えばすぐに別の場所に行ってしまう社長

そんな日の繰り返しにあさひのポテンシャルも落ちて行ったの。


 ある日、さくらが社長のお誕生日が近いからお誕生会をしようと言い出してね、あさひも大賛成してして、みんなで用意して社長を寮に招いたの。


 虎姫も誘ったんだけど、あまりいい返事がもらえなくて。6人で手作りのパーティがはじまったのね。♥





「マキノ~っ。これ美味しいね、おかわり。」


「あたしも欲しい!」


「いやぁ、わしマキノがこんなに料理が上手うまいなんて知らなんだわ、今度料理番組でてみるか?」


「あっ、社長、マキノだけエコひいきだ!」


「そうよ、わたしだって、経理帳簿けいりちょうぼはお手の物よ。」


「ワタシハ海外ノ言葉ワカリマス!」


「それ言うならもうちょっと日本語流暢りゅうちょうになってからね。」


「ねぇ、マキノはどう思うの。」


「えっ、なにが?頼んでおいて話しかけないでよ、焦げちゃうじゃん!」


「いつもマイペースね。マキノは。」





♡相変わらずマキノは寮長みたいに腹ペコメンバーの為に腕によりをかけて次々と料理を送り出していくの。

社長を囲みメンバーは楽しそうに話しているわ。♥





「ねぇ、社長はなんでアイドルグループを作ろうと思ったんですか?」


「そうそう、わたしも前から気になっていたんだ、だって、うちらみんなスカウトだし。すごい勝算があったんですね。」



「ちゃうで、たまたまや、あのな、空からな、ビビビ!ってなんか、雷みたいな電波がわしの体を貫いたんたんや、アイドルグループ作りなさい!これは、世の為、人の為やってな。」



「なんすかそれ!ウケる!」


「まぁ、それでもみんな頑張ってくれるさかいにワシホンマに幸せもんや。初めの頃は6畳のアパートに5人詰め込んですまなんだな。」


「アノ時モ楽シカッタデス!」


「そうそう、あさひの寝相が悪いからよくキックもらってたね。」


「そうよ、あんたの隣に寝るとひどい目にあうから布団でバリケード作ってたわね。」


「あああ!思い出した!あんたら仕返してたでしょ!あれ誰がしたの。」


「仕返しって何や?あさひどんな仕返しされとってん?」


「朝起きて顔洗おうと思ったら、顔に落書きされてたのよ!」


「………さて誰かなぁ。」(全員)


「あれはあれで、雑魚寝も楽しかったなぁ。」


「でもさ、マキノはなんか、あさひの蹴りを瞬間的に止めていたよね。」


「そうそう、なんか、スパーリングみたいだったね。ねぇ、なんでマキノあさひの寝返りを止められたの?」


「えっ、何でだろ、なんか寝てたら、夢の中で「来る!」って。だって、昔からだからね。」


「何よ、わたしの寝相の話ばかりじゃん!」


「あれで、1コーナー作れるね。」


「納得!」(全員)


「みんなで納得すんな!」


「こら傑作やなぁ。今日は楽しくてええ日やな。」





♡beni5を立ち上げた時の話をしながら、料理をつまみ会話が盛り上がる。実際仕事が減ってきて余裕ができたのだけど、誰一人そのことは社長の前では話さなかったの。


 社長は満足げな顔で寮のリビングのソファーでうとうとし出し、あさひがそっと社長に毛布をかけて、そのまま寝させてあげたのね。

誰もいないのを見計らってほっぺにキスなんかして。♥





「ふわぁ、よく寝たぁ。今日って夕方から撮影だけかぁ。」


「おはよ、社長は帰ったの、てか、まだ寝てんじゃん!」


「ほんとだ、嬉しそうな顔して。てか、ほんと静かね。」


「まじで、てか、息してる?」


「何、怖いこといわないでよ、社長、起きて、ご飯たべよ。ねぇ、ねぇ!」





♡あさひが嬉しそうに寝ている、社長を揺すってみるが、起きてこない

そして、社長の異変に気付いたの、そう社長はすでに冷たくなっていたんだ。♥





「社長、起きて!社長ってば!ウソ、つまんないいたずらしないでよぉ。ねぇ、起きてってば。」





♡あさひが、必死に社長を寝かせて、口を重ねて人工呼吸している。

以前バラエティ番組でマキノとあさひは救護の経験をしていたから

涙をためて、あさひは社長の胸を押しては息を吹き込んでいる。♥





「社長!いやっ!置いてかないで、ねぇ、おきてよお!」





♡社長は二度と瞼を開くことはなく、beni5、そして、あさひのもとを離れていったの。♥

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る