第05話 beni5誕生




♡新幹線は浜松を超えたあたり。ワゴン販売のコーヒーを口にしながら

浜はその後の話を聞いている。♥




「なかなか、冒険な挑戦やったんやな、ほんでも二人って、ひなつちゃん、いぶきちゃん、さくらちゃんはどうやって一緒になったんや?」



「そうなの、じつは、社長は他の子たちにも目をつけていてね、社長天才的に口がうまかったからみんなコロッとその気になっちゃって。」



「そんな口の上手な人やったんなぁ社長さん。」



「うん、社長はアイドルって言っても、だだ踊って歌えるだけじゃダメだって、なんか特技があって、個人でその特技を活かしながら活動できるアイドルを目指していたの。」



「ある日社長がデュオから五人組にするって言い出して、本当は二人組と、三人組って考えていたんだけど、途中で気が変わったみたい

 てか、なんかその時にカンが働いたみたいでね。

あさひも、事務所で売るなら一つに集約したほうが経費を掛けやすいって。」



「はぁ、あさひちゃんまるで社長さんみたいやな。」


「そうなの、あさひは会社に関わる経営的なことにすごく興味があってね

社長のナンバーツーというか、片腕みたいに、営業の取り方とか、難しいことを社長から吸収していったの。

 それでね、あたしたちが卒業して会社も本格的に動こうとした時にね、経理を雇おうって話になったんだけど。

 たまたま、知り合いの事務職でバイトをしていたひなつが簿記免許持っているって話になってひなつをスカウトしてアイドル兼経理で加入したの。」


「アイドル兼経理ってなんかすごいなぁ。」


「そうなんだ、どっちかというと、ひなつは経理の方が好きって言ってた。

あと、これからインターネットが流行るだろうということで、パソコンオタクだったいぶきがホームページとかネット関連を受け持って。海外発信もできるようにってさくらが加入したの。さくらは帰国子女だから、英語担当にになってね。まぁ今でも日本語危ういけど。」



「みんな役割があったんやね、ほな、マキノちゃんは。お料理担当やったん?」


「あたしはみんなみたいな特技が無いから寮での自炊役になったんだ。」


「何言うてんの!あんたの料理の腕前はかなりのもんやがな!そやからみんながマキノちゃんに甘えるんやろ。」


「おばあちゃんにそう言ってもらえたら嬉しいなぁ。」




♡マキノは浜に料理の腕前を褒められてなんかすごく嬉しいみたいね。♥




「ほな、5人揃ったところでマキノちゃんらのbeni5が活動開始したの?」


「うん、そうなんだ。だから、タレントでもあり、社員でもあったの

発足したばかりの会社だから、他の社員を雇う余裕がなくて。

社長が借りてくれた寮も5人で使うことになって、なんか毎日合宿みたいな感じで、それはそれで楽しかったなぁ、でも、あたしだけ、ちょっとみんなから遅れてて。」


「お料理もしてるからしんどかったんか?」


「違うの、スタジオのカメラが怖かったんだ、あの向こうにいっぱいの人がいると思うと、緊張しちゃって。みんな平気だったから、励ましてくれたんだけど、やっぱり怖くて、失敗したら大変だと思うと、余計に緊張して。」


「そうかぁ、うちもカメラ向けられるとなんか嫌な気分になるなぁ。」


「そんな時に社長が私にアドバイスくれたの。」





♡それはデビューして三ヶ月が経ったころ、注目の新アイドルユニットとしてbeni5は音楽番組に取り上げられたの。


 その番組はスタジオトークをしてから歌を披露するって内容だったんだけど

5人並んで一人づつ司会者がインタビューしていくのね


 リーダーのあさひから、ひなつ、いぶき、さくらまでインタビューしたあと

コマーシャルになってね。緊張して震えている、マキノをみんなが落ち着けるんだけど、そっと社長が横にきてね。」♥





「あんな。マキノゆっくり目を閉じて、大好きやった人のことを思い出してみ?そう、大好きやった人の笑い顔を想い出すんや!」





♡社長はまるでマキノに暗示をかけるようにゆっくりと耳元で声をかけたの。♥





「そうや、大好きな人が笑顔でマキノを見てるなぁ、その人の目を見てみ、真ん丸やろ。綺麗なまん丸や!、マキノのことがとても大好きな顔してはるわ。」





♡マキノは小海の笑顔を想像したの。いつもニコニコして真直ぐな瞳でマキノを見ていた優しい小海の顔を想像していたみたいね。♥





「ほら、マキノが大好きな人まん丸の目は…カメラの目や、失敗しても優しく受け止めてくれる、だから大丈夫や。

カメラを大好きな人やと思て表自分を表現してみ、きっとどこかでそれを見て喜んでくれるわ。」





♡その時マキノは天国の小海に自分の元気な姿が電波に乗って届く想像をしたの、コマーシャルの時間もあと少しでマキノにカメラが向けられたの、でもマキノはカメラの向こうの小海やトメたちの顔を思い出して、自分を表現したの。♥





「あなたの光をいっぱい浴びて、すくすく育たまんまる果実。甘酸っぱい初恋の思いを届けます。心にオレンジ柑橘娘のマキノです。」


『5人合わせて、beni5!』





♡メンバーも緊張していたんだけど、自分の口上こうじょうもインタビューも上手に受け答えでたマキノ。

 カメラを小海だと思ってそう、話しかけるように。無事に歌も披露して楽屋にみんな戻ってくると。♥





「マキノ!良かったよ!今までで一番良かったよぉ。」


「マキノ、ワタシチョット感動シマシタ。」


「おお!俺たちよりも堂々としてたぜ!」


「マキノ、やったじゃん!乗り越えられたね。」





♡ステージ衣装のままマキノを取り囲み嬉しそうに喜んでる、このチームの結束がbeni5を輝くトップアイドルに押し上げていくんだ。♥

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る