第04話 起業家のたまご
♡再びシーンは戻って新幹線の中、浜はマキノとあさひが芸能界に入ったきっかけを聞いて驚いていたのよね。♥
「マキノちゃんそんな知らん人のとこによう行ったなぁ、私びっくりしたわ。」
「そんなつもりは全くなかったんだけど、あさひがどんどんそっちのほうにのめり込んでいくから、一緒にいてあげないとマズいことになるかもって思って。
なんかあったら辞めさそうと思っていたんだ、でも、あたしもズルズルと引っ張られちゃって、あさひって、なんか動物的カンっていうか、直感がするどくて、いつも振り回されるんだけど、でもそっちのほうがよかったりとか…
不思議なんだ。」
♡そうなの、前にもあさひのオーラが半端ないって言ったけど、強いオーラは強いオーラを引っ張り合うの、一見やばそうな長浜だけど、実はこいつも強烈なオーラの持ち主で、何ならあさひの倍はあるくらいのカリスマ性をもっているの
本当は長浜にあさひが引っ張られた感じなのね。
オーラの強い人の特徴ってものすごくカンが鋭いの、だからこの先起こることを無意識で感じているのね、それと物を引き寄せる力も半端なく強くてね
そだね、カラフルなブラックホールと思ってもらうとイメージが掴みやすいわね。ごめん、余計にわかんないよね。♥
「ほんでも、今はまだ二人やろ、ひなつちゃん、いぶきちゃん、さくらちゃんはどこで知りあったん?」
「そうなの、それがまた嘘みたいな話なんだけどね。次の日曜日に事務所に呼ばれて、話を聞くことになったんだ………。」
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♡マキノとあさひが訪れた事務所は、大きなビルに挟まれた小さなビルでね
玄関をくぐったらエレベーターもなくてオール階段。
細くて薄暗い階段をあがて、4階の一番上がその事務所だったの。♥
「あさひぃ、よそうよぉ、なんか怖い…絶対ヤバイ人だって!」
「大丈夫だって、それにあんたが帰ったら私の身を誰が守ってくれるの?」
「あたしはボディガードか!だから
「ヘーキよ、絶対平気だから。」
「あんた、どこからそんな自信が湧いてくるのよ!」
♡薄暗い細い階段を上っていくと突き当たりに小さな扉があったの
うん、これって絶対ヤバイ事務所っていう感じの
でもあさひは勇猛果敢にノックしてその部屋に飛び込んだのよね。♥
「ああ、ようきてくれたな、まだ引越し中やさかいに、テキトーに座わっといて。」
♡ほぼ空っぽの事務所に、事務机と、パイプ椅子が積まれていたの
花の芸能界だからマキノはしっかりとしたオフィスかと思いきや
なんとすっからかんの室内に驚きを隠せなかったの。♥
「あさひちゃんとマキノちゃんやな。どや、学校のほうは。あれ?マキノちゃん、パーマやめて髪の毛の黒に色染めた?」
「ええ、ちょっと………はい。」
「校則の問題やな。」
「はっ、はい。そうです。」
「よし、ほな、ダンスと歌を見せてもらうわ。このビデオ見て同じように踊ってもらおか?」
「おお、なかなかええやないか。もっとキレッキレで踊ってみ?
おお、上手や、君ら息ぴったりやな、二人ともダンス部か?
そうそう、もっと腰をクイって、そうや!」
♡一見怪しげな風貌の社長だけど、言葉の一句一句がまるで魔法だったの
二人とも社長に乗せられて気がつけば汗だくになってダンスを踊っていたわ
息切れした二人にぬるくなったペットボトルのお茶を差し出して。♥
「ええやん、まるで芸能の神様に愛されたみたいやな、うちの会社と契約してくれへんか?」
♡息を整えたマキノが社長に聞いたのね。♥
「あの、事務所って、ここですか?なんかまだちょっと思っていたのと。」
「ようマキノちゃん言うてくれたな、そうや、これから三人で作り上げていくんやがな!」
「えっ、それって………。」
♡マキノは少なくとも何人かのタレントを抱えていて、机が並び、固定電話もあって、部屋にはタレントのポスターが貼っている想像していたのね
あまりにも何もない部屋だから不審に思ったマキノは帰る気満々で、あさひの腕をつかんで顔を見上げたんだけど。♥
「ねぇ、あさひ、ちょっとぉ。」
「うん、わかった、社長さん、ということは、うちら役員待遇ってことでいいの?」
「はっ、何言ってんの!」
「おほっ、あさひちゃん!わかってるねぇ、もちろん、仕事の役割はあるけど創業メンバーやからなぁ。」
「いいじゃん、マキノ、うちら再来年には施設を出ないといけないし。」
「でもあさひなら、大学進学だってできるでしょ。」
♡意外だけど、お勉強のあまりできないマキノとちがって、
あさひは偏差値70オーバーと恐ろしく高くて十分に奨学金で有名国立を狙える位置にいたの、しかも塾無しで!
この子は本当に地頭がいいのよ。マキノはてっきりあさひは大学に進学するものだと思っていたんだけど。♥
「仕事を探すために大学に行くんじゃん、こんな面白そうな仕事が目の前にあるのよ、やってみない手はないでしょ。マキノ大丈夫!きっといけるわ!」
「もう!わかったわよ!あさひについていくわ!」
「よっしゃ!これで話は決まったな、あの、あさひちゃん、さっき施設とか言うてたけど、ちょっと詳しく聞かせてくれへんか?」
「わたしたち、両親がいないの、だから施設で育っきたのよ。なんとか高校まで行かせてもらってるけど、高校卒業したら施設を出ないといけないのよね。社長、企業時の事業計画書、事業届け、見せてもらってもいいですか?」
「ああ、ええで、見たって、どーんとみたって。」
♡もともと、起業を考えていたあさひは、会社を起こせるチャンスに胸をときめかせていたの。♥
「あのさ、社長。さっき言った通りうちらバックが無いからお金ないよ、未成年だしローン組め無いし。レッスン料とかの資金は社長の持ち出しになるけど、いいよね。」
「心配せんでええ、なんとかなるやろ!」
「あんた、本当に進学いいの?大学行った方がいい会社に勤められるんじゃないの?」
「いい会社に入るために大学に行くのも一つの選択肢だけどさ、でも、
会社に入っても、したいことができるようになるまでには、時間がかかるのよ。
わたし、したいことがいま目の前にあるの、それに進学したら、マキノと離れ離れになるじゃん。そんなのイヤだよ。」
「そっか、もしよかったら君らの話を聞かせてくれへんか?」
♡社長はあさひがの話す言葉をまっすぐに聞いていた。マキノと出会ってからのこと、姉妹のように暮らしてきたことなど、6年間の思いをつづたのね。♥
「よし!わかった。ほな、学校には話つけたるわ、その代わりにうちの寮に入ってもらうで。
しばらくは二人暮らしや。学校終わったらレッスンに通てもらうさかいに。もし学校側が渋り寄ったら、芸能人も通ってる学校に転校してもらうよってに、それでもええか?それにマキノちゃん、やっぱり君はくるくるの髪の毛の方が似合うわ!」
♡この男、どこから活動資金を引っ張ってきているのか謎なんだけど、その後マキノたちは施設を出て、アパートの一室での二人暮らしがはじまったの。
なんだかんだ言いながら高校は転校せずにそのまま通学できるようになったんだけどね。まぁ、それから放課後二人のレッスンは始まったんだ。♥
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