第4章 竹生町
第12話 近江舞子
♡マキノたちが東京から帰ってくると100周年の実行委員で問題が起こっていたの。
ちょっと前に話したよね、優作が溺れかけて奇跡的に助かってそれでマキノが虎姫を
じつは、それから虎姫と連絡が取れなくなっちゃったんだよね。
祭のイベントの企画はほぼほぼ軌道にのっていて、
実行委員だけで回せそうなんだけど、でもやっぱりここまで実行委員と一緒に
頑張ってきたんだもんね気になるよ。♥
「えっ、虎姫くんが、行方不明なの?」
「そうなんだよ、連絡が取れなくてさ。」
「ごめんなさい、きっと私のせいだ、あのとき、虎姫くんを
♡優作の忠告にもかかわらず、彼に対する見栄もあったため、ライフジャケットを着ずに湖で溺れかけて、助けられた優作の命を危険にさらした一件から、音信普通になっちゃったみたい。♥
「マキノちゃん、虎姫さんから連絡とかなかった?」
「うん、連絡………ないよ。」
「交渉ごとはほとんど虎姫さんがしてくれたし、あとは、当日のイベントと、告知パンフレットの作成くらいからだから、自分たちでできるけど、でもなんか後味が悪いなぁ。」
♡マキノがその件について手を出してしまったことに深く反省しているの
もちろんあの状況にいたメンバーは仕方なかったことだと言い聞かすんだけど
人を叩いてしまった罪の重さにずっとうつむいているわ。
その場を切り返すように莉央が会議の場を進めるように鼓舞したの。♥
「虎姫さん、プライド屋さんだからきっと恥ずかしいんだよ。
ここに来たいけど何て言っていいかわからないんだと思う
乗りかかった船だしきっとまた顔だしてくれるって
それよりさ、まだヤンなきゃいけないことがあるんでしょ。
マキちゃんも顔あげてよ、マキちゃんがいなかったら優ちゃん、あっ、優作の命が危なかったんだから。ほら、しっかりしてマキちゃん。」
「そうだな、虎姫さんが顔だしてくれた時に話が止まっていたら何をしてたんだってなるもんな、進めよ。」
♡そこに勤務から終わった優作が会議室に転がり込んできたの。♥
「ごめん、ごめん、ちょっと問題が発生しちゃって、どんな話してたの。」
「お前の話や!とにかくイベントを進めるで!ここ5年ほど来てくれている演歌歌手の近江舞子やけど、今年は来てくれへんかもしれんなぁ。」
「そうだよなぁ、去年はなんとか頼み込んで来てもらえたけど、もう今じゃ、押しも押されもせぬ演歌界のプリンセスだもんなぁ。」
「はじめの年は無名だったから来てくれたけど、いまじゃ紅白歌手だからなぁ。こんな片田舎にきてくれるかどうか。」
「でも100周年だからなぁ、そこそこのビッグネーム呼びたいよ、とくに、うちのオカンとか、また今年も近江舞子くるのか?ってうるさいし。」
「なんかコネでもあればなぁ、マキノちゃんはコネとか知らないかな。」
「ごめんなさい、近江舞子さんって、なんか名前きいたことあるけど。面識もなくて。」
「ちょっと、委員長マキちゃんを困らせないでよ。まぁ、当たって砕けろって言うし委員長が聞いてみたら?」
「だよなぁ、じつは近江舞子の件、虎姫さんあてにしてたんだぁ、仕方ない俺が聞くかぁ。」
♡ということで委員長が「近江舞子」の事務所に電話してみたんだけど………
答えはノーだったのね。
まずはギャラが合わない、そして今やコンサートホールを満員にできるくらいの実力なのに、一つの町の特設ステージで歌うことはできないって言われたの
まぁ、何年も安いギャラで出てくれていたんだから、仕方ないわね。
祭の昼の部のイベントステージのトリが決まらずに誰にするか難航しているねぇ、何人か候補がいるんだけど、やっぱり演歌は外せないしでも。彼女よりも知名度の低い人ばかりで。予算もギリギリの中で人選はつづいているわ。
それでね、候補をいろいろ当たったんだけどなかなかいい人がいなくて。候補者の最後の最後に名前があった、真っ赤な女がヒットした「ベンガラ太郎」っていう、演歌歌手に大トリを務めてもらうことになったの。
こいつは近江舞子と同じ事務所で兄弟子のような存在なんだけど、影で色々と問題があって、ちょっとなんか先行き不安な雲行ね。♥
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます