第10話 驚き、そして悲しみ
「ちょっと待って!最年少特殊戦官が私と翔ってどうゆう事?」
「そのまんまの意味。鹿野さんと翔は今20歳、試験を受けたのは19歳だし……って知らなかったの!」
「うん、多分翔も知らないと思うよ」
瑠衣斗さんはため息をついた。
「外間くんは、特殊戦官になった時、23歳、一昨年まではそうだったんだけど今は2人。3歳も最年少記録を更新しちゃったから、上の方では2人は超有名だよ」
(え、うそ)
「えー!みたいな顔しているけど本当だからね」
瑠衣斗さんはそう言った。
私は瑠衣斗さんに聞いた。
「何でそんな事知っているの?」
すると瑠衣斗さんは苦笑いしながら言った。
「当のご本人だから知らないかもしれないけど、2人の同期ってだけで2人の事いろいろ聞かれるんだよ。さらに僕は同じ場所の所属、聞かれないはずがないんだよ」
「なんか・・・・・ゴメン」
その後は、何も話さず第1部に戻ってきた。
中を見るといたのは杏子ちゃんだけだった。
「杏子ちゃん、南雲さんと翔は?」
「南雲さんは6区で起きた小戦争の鎮圧に、立川さんは訓練場に行きました」
「ありがとう」
私と瑠衣斗さんはそう言うと自分の席に座り、報告書を書き始めた。
***
数時間後———————
『8区で大型テロが発生!担当の部署の者は全員急行せよ!』
特殊戦官本部にうるさいほどのサイレンが鳴った。
(全員だなんて、どれだけ大きいの⁉︎)
私たちの部は6〜9区担当、つまり行かなければならない。
「りん、瑠衣斗、行くよ」
訓練場に行っていた翔が戻ってきて言った。
「うん、わかった。杏子ちゃん、行くよ」
私は杏子ちゃんをせかした。
「私、行っても良いんでしょうか?」
杏子ちゃんは今まで現場に行った事がないのだ。
「大丈夫だよ」
私はそう言って杏子ちゃんの手を引いて翔と瑠衣斗さんの後について行った。
本部の外に出た後、私は《飛走》を使い、その後ろを翔が、
現場に着いた時、既に数名の特殊戦官がいた。
だが、誰も動いていない。
私達は変だと思い、その内の1人に近づいた。
「おい、大丈夫か?」
翔が声をかける。
その人はある方向に指を指して言った。
「多摩…大佐」
私と翔は指を指している方向に目を向けた。
「———ッ!」
もう1人の方に声をかけていた瑠衣斗さんと杏子ちゃんは別の方向を向いて固まっている。
私はそっちの方にも目を向けた。
「———あ…」
涙が溢れた。
右と左にある塔の柱に———多摩大佐と中野中佐が1人ずつ縛られ、燃える火の中で………
死んでいたのである。
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