第3話 犯人の目的
「瑠衣斗さん!」
私は、自分の前に立っていた第2部隊の隊長である佐藤少佐に駆け寄っていた。
犯人の姿は既に無くなっていた。
「瑠衣斗さん、今、傷塞ぎますから」
私はそう言って魔法を発動させた。
《アイスヒール》
たちまち私の魔法が瑠衣斗さんの傷を塞いだ。
これが私が持つ能力の1つ、魔法、《アイスヒール》。対象者の傷口を氷の力で塞ぐというもの。
「第3部隊から第6部隊の中でヒール魔法が使えるものは第2部隊の手当てに当たれ」
多摩大佐が言った。
ヒール魔法が使えた者は12人程度。
十分だと私は思った。そして私は、多摩大佐の方へ向かった。
「多摩大佐、犯人の目的が分かりました」
「何かね」
「特殊戦官を殺すことです」
多摩大佐は目を見開いた。
私は続けた。
「今まで私たちは犯人を取り逃してきました。でもそれは違います」
「どうゆうことだね」
「取り逃がしたのではなく、犯人自体その場にいなかったんです」
「どうしてそう思うんだい」
私は前に送られてきた犯人の画像を見せながら言った。
「さっき一瞬だけ見た犯人の洋服とこの何枚も映っている写真の洋服が一緒です」
「それがどうした」
「普通、自分が逃げるときできるだけ毎日洋服を変えて、特徴をなくそうとすると思いませんか?」
「確かに」
「さらに、この犯人は2日に1回は防犯カメラに映っています。追われている人間が、頻繁に防犯カメラに映るなんておかしいと思いません?」
「確かにそうだ。つまり、犯人はわざと防犯カメラに映り、私たちをおびき寄せていたと」
私は首を横に振った。
「ここからは、私の予想ですが、犯人の仲間にハッカーがいたのではないかと」
「ハッカーだと⁉」
「はい、今の防犯カメラは魔法に対応するためのシステムが多く、ハッカーにとっては自分の目のように操れると思うんです」
多摩大佐は少し考えてから、
「分かった、すぐに本部にいる人間に防犯カメラの解析に当たらせよう」
「ありがとうございます」
(少し出しゃばりすぎたかな?なんか私、探偵みたい!)
私は、自分の意見が通った嬉しさと出しゃばりすぎたかもという不安を持ちながらみんなが回復作業を行っている場所へ向かった。
でも、私は大きな勘違いをしていたらしい。
そう、私が思いもよらない人物。
それは—————————
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