第22話

私が書いた物について蚊トンボが馬鹿にしてコメントをした、もう一つの話について触れてみよう。               若い時に水商売をしていた時に、あるアドバイスをしてくれたフィリピン人ホステスがいた。                  ああした仕事をしていれば、客がたまに不快な言動をする、そんなのは付き物だ。   これはどんなに綺麗だとか人気があるだとか、指名客がいるとか、接客が上手いだとかしても、誰でも必ず経験することだから仕方がない。                そうした時は、多かれ少なかれ怒ったり、不快になる事もある。           それをそのまま、客の席で出す者もいる。 普通は我慢する。            程度に寄っては、怒ったり、席を離れて中々戻らないだとか、色々あったりもする…。 仕事だから我慢してそのまま乗り切っても、尺に触って、後からイライラしたりもする。何しろ、(ベッタリと)そのテーブルに着いて、接客するのだから。         そしてその日、私は一つのテーブルで、嫌な客に着いた。              だから帰る時に、3人位のフィリピン人ホステス達と店を出てかち合った時に、その中の一人に声をかけられた。         彼女達は店からそう遠くない、アパートだかマンションだかの寮の部屋へ歩いて帰るところだった。               店で何部屋かを借りていたのだ。     何部屋かを借りて、一部屋に何人もを一緒に住まわせていた。確か4、5人だとか、もっとだったと思う。行った事がないから分からないが、タコ部屋と言うやつだ。     (それは小松菜やブルが頻繁に通いまくり、そして地味男さんとニトヘン、その他の若いのやら中年やらの警察官達が昨今やはり足繁く通っているあのマンションとは違う。ああした、各自のワンルームではなくて、何人かが同居するのだ。)            そこへ戻る時に、丁度店の外で会ったのだ。そしてその中の一人の子が私に、何故そんな不機嫌で怖い顔をしているのかと聞いた。 確か、リンダと言う娘だった。      前にも話したが、彼女はかなり人気があり、指名率はこのフィリピンの子達の中では上位だった。多分、ベストスリーに入ったと思う。                  彼女は余り綺麗でなく、彼女よりももっと綺麗だとか可愛い子は何人もいた。身体も、もっとスラッとしたり、スタイルが良い子もいたし、もっと若い子もいた。       だが彼女は何度か来日していて、確かその時は3度目か4度目だった筈だ。     皆、彼女等は基本接待は上手いが、中にはたまに駄目な子もいた。本気で怒ったり、中には泣いたりだとかの。         又、稼ぐのとや、結婚して居着く為の、彼女達の必須の武器である枕営業を、(そうでもしないと、短期間で貯められるだけ貯めるのだから。又、結婚相手を探し、駄目なら又次へ行くのだから、セックスは必需品だ。)選り好みして、嫌がって余りしないから人気がなく、一度来ても、ビザの効いている3ヶ月間(だとか6ヶ月間)が過ぎて帰ると、もう来ない子がいた。             中には店とまだ契約中に(トラブったりだとか太ったりして)返される子もいた。  (又来日できても同じ店に来られるかは決まっていないから、だからもう会わない子もいた。何処か違う所へ、他県だとかへ行く場合もあるからだ。)               リンダは利口だしやり手だったから、人当たりが特に良く、とてもセクシーと言うか、女性的だった。そして他のピーナ達よりも凄く派手だった!!             例えば、スパンコールの着いた金色や銀色のギンギラギンの、スリットが入ったチャイナ服の様なドレスを着たり、ポストの様な真っ赤な超ミニボディコンだとか、正月には日本人じゃないのにド派手な着物を着て店に来たりした!髪の毛も、そうした日本髪に結って。                  だから、太った大男がパトロンでいて、年中同伴していた。彼女の持ち物もブランド物が多く、日本人の子よりも良いバッグだとかを沢山持っていて、入れ代わり立ち代わりに持って来ていた。             他の二人の、彼女の仲間もやはりそんな感じだった。                一度、私の友達が言った事がある。    「ねっ、あの子達って、本当に凄いね。だって、日本人なら絶対に、どんなにお金を積まれてもあんな気持ち悪い男達なんかと、絶対に‼、セックスなんてできないし、死んでもしないもん!!ねっ、そう思わない?!」 「そりゃそうだよ。しないよ。」      そう答えたが、誰でも普通の若い女ならそう答えただろう。そうしたタイプだった…。 この男は凄く怪物的な、小錦をもう少し痩せらせた様な男で、確か不動産屋をしていたと思う。                 いつも金の太いネックレスや、ブレスレットだとか、指輪をしていた。羽振りの良い成金親父だった。              彼女は、もしか自国に子供がいたのかもしれない?嫌に大人びていたし、幾ら何でも、あそこまで化け物的な男とも年中関係できたのだから。                私も最初は知らなかったが、子供がいて、家族がその面倒を見ていて、日本へ働きに来る娘がとても多いそうだ。皆、若くても一人とか二人位いて、十代の時に産んでいるとかで。                  私の友達だった子が、その子達の中の誰かに聞いて、私へ教えたのだ。それで、皆結構、20歳前後でも5歳位の子がいると言うから、最初はとても驚いた。        カトリックで、子供を堕ろしてはいけないから、未婚で産むだとか言っていた…。   で、このリンダが私に言った。      お客に何か不快な事を言われても、いちいち相手にするな。そんなのは馬鹿馬鹿しい。 何故なら相手は赤ん坊や、仔猫や子犬と何も変わらないのだから。          男は基本そうした生き物と同じだと。そう思えば、本気で怒らなくて済むし、そのまま流せる。上手くいくのだと。        だから、自分は何を言われても怒らない、いつもニコニコしている。そうして黙って話を聞く。そしてそれは習慣化するから、最初は嫌で不快でも、必ず大丈夫になる。平気だと。                  だから男達は又通って来る。関係している相手は元より、していない男達もだ。    だが私はそんな事を思えないから簡単にスルーできない、無理だと言った。      彼女は必ずできるからしろ、と強く言い放って帰って行った。仲間の二人も、そうだと言う風に納得げだった。          確かに、最近何かそうして書いてある物を目にする事がよくある。男はプライドが凄く高いがとても繊細だから、赤ん坊や仔犬に接する様にしていると上手くいくと。     丁度お釈迦様が、孫悟空を手の平の上で操っていたが悟空は知らなかったという、あれだ。                  だから、手の上で転がすと言うやつだ。皆、良い妻はそれを自然にやっているらしい。 蚊トンボは私が書いたこの内容について、馬鹿にしながら否定して笑っていた。マシュマロお腹のオジサンも、同意して笑っていた。男ならそんな事を言われたら面白くないのだろう。                 だが事実だと思うし、自分の母親や女房もそうしているのではないだろうか?!笑   あの野暮ったいオバサンも笑っていたが、もし結婚していたら、そうしているのでは? 又、しないなら、夫婦円満ではないかもしれない?惨めな結婚生活かもだ。もし、結婚していたらの話だが…。          続く                   ‼                                              

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