第21話

以前に私の事を散々悪口を言っていた蚊トンボ君、彼とその後一度すれ違った時がある。彼は今度は前回と大違いで、嫌そうに顔を背けて、横を向きながらすれ違った。    前回は、側にいた同僚で年上の二人に、意気揚々と私についてああだこうだと悪口を言っていたのだが…。            マシュマロみたいな柔らかそうな、ブルンブルンしたお腹のオジサンと、垢抜けない、派手な茶髪のオバサンとに挟まれて、息子みたいな感じだったが!           あの時、彼は盛んにはしゃいでいた。私の外見と、私の犬の見た目とで私と分かったから、私を初めて見て、活き活きして嬉しそうだった!!               だから、一緒にいる二人に私の事を話していた。凄く楽しそうに、馬鹿にしながなら!!その二人も一緒になって、笑いながら話していた!                 余り大きな声ではなく、中身は(少し離れていたから)、聞こえないと思っている様だっだが、笑い声は割と大きかった。蚊トンボだけは、何度も"警察睨み"を私にしていた! これは、まず下を向きながら斜めに顔を向けて(右か左に)、次に顔をそうしながら少し上に向けて相手を見る。          蚊トンボは正面からも数回したが、これは背中を向けて、よく後ろ向きにもやる行為だ。こうして見る事に寄って、相手にはハッキリと見ているのが分からない。そう、ズバッと真っ直ぐに(前や後ろから)見るよりもだ。 とにかくそうしながら歩いていると、近くのバス停の、彼等の乗るバスが来たので、それに向かい3人は一生懸命に走った!!   二人は、早く動けなくて愚鈍な亀の様に見えた。(亀は可愛いし、馬鹿ではなく利口らしいから、愚は抜かそう!)        二人は動きが鈍い亀の様に見えた。蚊トンボーヤはヒョコヒョコと、か細い、頼り投げな体で後ろから着いて走っていた…。    走る前には、彼はその悪口の中で、私が書いた物についてああだこうだと批判して笑っていた。                 例えばその1つには、私が子供の時に、うちの隣に住む中年女性が愛人をしていて、その相手の男性が泊まりに来る。すると必ず翌朝には鰻や鮨の、綺麗に洗った器が玄関先に二人分置いてあった事だ。         それでまだ13か14位の私が、何かの拍子に、愛人だとかその人の話になり、いつもそうした物を食べられて羨ましいだとかを少し思った事だ。              それを母が、そんな物を幾ら食べれても、毎回そうして二人分の洗った器が外に出してあれば、近所の人間は皆、その男性が来た事が分かると言った。            丸で背中に貼り紙をして、それを近所中に歩いて宣伝している様にだと。       だからそんな事を思われるのは嫌だろうと、笑いながら言った。大体普段いなくて、たまに来るからそうした物を注文するのだからと。だから羨ましいだなんて思う様な事ではないと。                それを面白可笑しく話して、二人で大笑いをした事についてだ。確かにあれを読めば面白いかもしれない…。           現にあの、眼鏡のフレームが馬鹿みたいに大きく見えた、変な目立つ髪色のオバサンは、いつまでも笑っていた。マシュマロ、又は鏡餅ボディーのオジサンも、彼女には負けるがやはり大笑いをしていた。        そして蚊トンボーイは、中学生にもなり、まだそんな食べ物に、(鰻や鮨に)つられて愛人が羨ましいと言っているなんて、馬鹿だとか幼稚だと言っていた。教養や教育が無いだともしつこく言い、大笑いをしていた。他の二人も同意して笑っていた。        だが、この青年は馬鹿だ。他の二人もそうだが、この子よりももっと年上だから、只馬鹿にして笑いたかっただけなのかも?だって、幾ら何でも分かるだろうから。笑     教育や教養は人並みにある。又、例えばそうした物が凄くても、犯罪者になった人間は海外には多いと聞く。殺人犯だとかが。   そして、大体そんな事を本気で思う訳が無いのだ!!だが、誰でもそうした事を言う。 警察官なら、普通はそれ位分かって当たり前だとは思うが…。            例えば女なら、あんな綺麗な服やアクセサリーが身に着けられるなら女優になりたい、だとか、仕事をしないで家でゴロゴロしていられるなら、愛人になりたいだとか。    男もそうだ。聞いたことはよくある。   例えば、自分はアメリカに生まれたかったと。そうしたら日本のサラリーマンの様に、会社が終わってからも、上司と一緒に飲んだりしないで、ドンドン早く帰れるのに、と。又は、女房や子供がいないから羨ましい、コイツと代わりたいだとか。自由に好きにできるから、と。              だが本心ではない。少し良いな、とその一面について羨ましいと感じるだけで、本当にそうした風にになりたい訳ではないのだ。  普通は大概そうだろう。         それと、私の母がやはり私と同じ様な人間だと言ってはしゃいでいた!       「あれ、親がそうなんですね〜?!やっぱり、アメリカ兵なんかと付き合う女ですからねー!!」               やはり笑いながら嬉しそうに何度も何度も!!、繰り返していた。オウムに転換したかったのか?! ←冗談!又、本気にされるから。                  私の母の悪口イコール私の身内だから、私への悪口な訳だが、蚊トンボは知らない。  若いし、世間知らずだから。       私の生まれた時代は、まだ今の様に何でもあるだとか手に入る時代ではない。     中学生の頃にコンビニが出来た。欧米の食べ物は、ユニオンや明治屋にしか殆ど無かったし、値段ももっとうんと高かった。    つまり、アメリカの軍人は、特に私の父親の様に中年で、位がペーペーでは無いと、お金があった。               だから今、日本人のオジサン連中が、外人ホステスの、特によく目にするフィリピン人ホステスの娘に服や食べ物を買い与えたりしている様に、同じだった。別に、昔の日本では。                  今はこのオジサン達とこうした彼女達を関内のユニクロなんかでよく見る光景だ。店は違っても、2、30年前からある光景だ。 (だから、40代のブルや地味男さんもそうしていたし、いるのだろう。小松菜や他の若い男達も多かれ少なかれそうだろうが。) 要は、普通の日本人の若い女は、当時はまだ日本が今とは違い、お金がない子が多かった。                  アメリカ人の男と付き合うと、映画を見れたり、美味しいものが食べられたりして、良い思いができた。その子の家族もそうした場合があった。               だから米軍基地内に日本人従業員として毎日働いていた母は、余計そうして付き合っても不思議では無い。庇うわけではないが事実なのだ。                 蚊トンボーズでも、分かるのでは?(自分や)若い仲間が、あのオジサン警官達が、その店ヘ行き始めてからは(自分達も、そうした事をしてやりながら)、ああして朝にフィリピン人ホステス宅マンションから、署ヘと歩いて行くのだから。            そして道で知りあった訳ではないだろう。もし誰ががそうでも、あの数の男達が、全員では無い。                必ず最初の誰か→(小松菜、そしてブルだとか)に連れて行かれて、そこで呑んでからのお泊りが最初で、そこからずっと始まったんだろう。                今朝も久々に二人見た。マンションの方から出てあのコンビニで買い物をして、署ヘと歩いて行く二人を。            中年のガッチリした色黒の男と、その後には背が小さな若い子で、地味な横顔をしていた。                  この子は下げカバンを持っていたが、大きなコンビニのビニール袋を、左右の手に持っていた。                 中に食べ物や飲み物がガッツリと入っていた。若いから、小さくても食べるのだろう。朝御飯と、昼の分だろうか?       反対側の歩道から見たら、アメリカの中学2年生位の様な体型に見えた。だがきっと若いから、朝は昨夜の性行為で、お腹がうんと空くのかもしれない…。          だから、蚊トンボが母の事を散々言っていたから私は思った。彼の母はあんな華奢で貧弱な身体の息子を産んだのだから、きっと自身もそうしたミミズや蚊トンボの様なつまらない、見栄えのしない女なのかもだ。    それとも父親がノミの様な小さな、又は針金の様なみっともない男なのだろうか?恐らくはどちらもそうで、似た者同士だろう。  蚊トンボはアメリカ兵の事も、凄く馬鹿にしていた。確かに(婦女)暴行だとか、殺人事件だとかを起こしたと、ニュースでたまに見る。                  だが、日本の警察官も最近はそうした事を、やはりニュースで割とよく見る。同じだ。 まさか張り合っている訳でもないだろうに?!笑                不思議だ。どちらも自国の為に働いている男達なのだが。(余り女では、聞かない。)  そして彼等には巡査や巡査部長だとかの若い男が多い。特に痴漢だとかの性犯罪が。違ったかな?!               そして蚊トンボもああして、道でしつこく悪口を言ったり馬鹿笑いをしているのだから、見た目の貧弱さばかりでなく、中身も、両親にそうして似たのかもしれない??    そんな風に想像したら、私も理解して、納得した。笑!      

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