第3話

それからしばらくは飲まなかったが、その後は(当然)ある。だが、家飲みだ。そして、酔いながらも中型犬を散歩した。何事もなく終わった。               昔は全然平気で、幾ら飲んでも犬の散歩は難なくできた。今でもたまに飲んで行き、途中で又酎ハイをコンビニで買って、大きな公園のベンチに座り、飲みながら楽しんだりもするのだが。犬には犬用のクッキーを少しあげたりして。だから大概は平気なのだ。   だが、やはり年には逆らわない方が良いのだろう。そして酒も程々にしないと。まぁ、 無理難題だが!!            だがもう警察署から自転車やバッグを運ばせる様な、馬鹿な事をしない!次は、特にバッグは無いかも?!、だから。       そういや、このY警察署の多くの男達は、 まだ直ぐ近くの、フィリピン人ホステス達がいるマンションに泊まり、朝は間近のコンビニへ寄ったりしながら署へ行く。(コンビニで買い物をせずに真っ直ぐにそのまま行く男達も最近多い様だ…。)自転車やバッグを運んで来た男達は、そうして見る男達ではない様だったが…。               彼等は私が記した物を見ているのだろうか。私が犬を朝連れてあのコンビニの向かい側の横断歩道を渡ろうと待っていると、私を見て急いでコンビニの中に入り、雑誌を読む真似をしてしばらく背中を向けていたりして隠れている様な?、又は私と顔が合うと直ぐに目を反らし、急いで、早歩きをして署へと歩いて行ったりする。            中には、朝行き違いながらジッと顔を見るから、こっちも見つめ返すと、パッと目をそらしたりして見ないフリをする。たまにジッとそのまま見つめ続ける男がいるが、大概は若い、20代の連中だ。          まぁ、ヘッポコを含め、誰でも自分達以外の人間なら、ああした事を警官がするのは嫌だと思うから。散歩中にたまに話す近所の犬のオーナー達だとかも呆れている。だから逆の立場になれば自分達も分かる筈だ。    ブルや、その他の中年のオジサンもまだよく見るし、小松菜は2回程、Y-警察署近くで見た。やはりマンションから歩いて来たのだろうか。降りてきたバス、大通りの両サイドのどちらにもその時にはバスが通って行かなかったが、定かではない。最近はめっきり見ない。見た時はコンビニのセルフサービスのコーヒーも手に持っていない…。      浮気がバレて、もうその店にも行かないし、ホステス宅にも泊まらないのかと思っていたが、あの女達は麻薬の様に、性的に病みつきになるそうだ。これは、本当によく聞く。 だからか、フィリピン人ホステス達を公衆便所だと言う人間もいて、かなり何度も聞いた事がある。               割と簡単に誰とでも関係して、又沢山の男達がその女の元へ通うからだ。(悪気は無い。ヘッポコ自身も、ゴミやクズ呼ばわりされた事もある。アメリカ兵の私生児な為。母いわく、元アメリカ兵、である軍属だそうだ。)だから我慢しきれずに、浮気がバレた後もたまに行ってしまう男もいるのだろう。   そしてその小松菜は、私を最後に睨みつけてからはもう見ない様にしている。(自分の事を書かれて、怒っているのだろう。)なら刑事として、警察官として、ホステス宅に泊まり、朝そのまま仕事へ行くんじゃない。(幾ら男だから仕方ないとしても)、やはり不謹慎で不快になるのだ…。         だが、これもへっボコな私が仕向けてしまい、小松菜が発端で、あの警察署の男達がフィリピン女達の部屋に泊まる様になってしまったんだろうか。            思えばあの日、酒が入っていたから、フィリピン人ホステスについて色々と情報を知らせた。聞いた小松菜は非常に喜んでいた。  そしてだからか、結果そうした店へ行き、女達が各自割り当てられたワンルームヘ泊まり、又行き、それを繰り返した。仲間に教え、連れて行く。そして皆が常連客になり、安く飲めて手軽に性処理ができる居場所を作った。(私が言ったのがもし理由や発端でないとしても、あの時の、無表情を装いながらも驚き歓喜した小松菜の顔を思い出すと、 そうだと確信してしまう。)        だが小松菜はあそこまで性的に飢えていたのか!そんなに変な見栄えじゃないし、体も ガッチリとしている。          では彼の妻は馬鹿な女で、男は、"幼児とアイスクリームの法則"と同じだと分からなかったんじゃないのか。          幼児はアイスクリームを喜ぶ。アメリカなんて、特にそうだ。だから、彼等がアイスクリームを欲し、与えたら喜び、夢中になって頬張る。男はそのアイスクリームが、女体との交わり、特に女からの口での奉仕だ。彼等はこれを得る為には殆ど何でもするし、したいのだ。                 犬が芸をしてご褒美のオヤツをもらう様に。オヤツがもらえるから喜んで芸をして主人を喜ばせる様に。違うと言われても、長年生きて来て、(聞いたり、書物等で調べたりしての)、ヘッポコが結果見出した男とは?、の定義だ。(分かるまでにはかなりの時間がかかり、男女関係の現役者でなくなってから、とも言える。)              彼の妻はそれを多分途中からは与えず、セックスレスを貫いていたから、夫は性の相手を探し求めていた…?なら彼は哀れな犠牲者。無知な毒妻の。             だがそんな女をうかつにも気に入り、女房にして家庭を持った。男も、女同様に変な異性と付き合うとろくなことにならない!   ヘッポコの私はそう思い、勝手に満足した。自分自身の家庭や生い立ちを振り返り。  もし私ならそんな事はしないが。うちの犬が、小松菜の不注意のせいで彼の耳を噛んだ。私は治療費を半分払い、最初は全額を払わされてから、半分を後から返された。  彼の上司のブルや、庶務課の愛薔薇さんに。小松菜にもその後、朝偶然行き交った時には誤った。最初は無視していたが、私が何度か話しかけて謝り、もう諦めて行こうとすると、大丈夫だと低い声で、顔を見ないで言った。                  私はその言葉を聞いてやっと気持が明るくなり、ホッとして安心した。やはり、痛みを 味わったのが哀れだったから。      そして思った。意外と芯は気が小さくて、優しい男なのだと。だから私なら、こうした男である夫を、もっと大事にしたし、するのにと。私の家の中にどうしても入って来ようとした、こんなバアさんの。幾ら、かなり若く見えても。嘘までついて。("Y-警察署の助平な御仁達?!”に詳しく出ている。)    なんとも可愛い男だ。見た目も割と好みだ。そして何か、中村主水に似ている。特に横顔がよく似ている。別に藤田まことを好きではないし、カッコ良いだなんて丸て思わない。だが、中村主水の時は、(若い時のだが)は何か良い。飯をかっこんでいる横顔が   良い!!そしてあれは同心で、今で言う警察官だから同じ職種。鬼妻と鬼義母と同居。ろくでもない妻がいて、これも小松菜と同じ?!だが、彼もまさか義母も一緒にいたりして??                だからといって、どうこうしたいだとかじゃない。この年だ。性行為などずっとしていない。そう、セックスレス!私もだ?!しかも20何年。22年前後だろうか?      人はこれを聞くと驚く。だが事実だ。まぁ、女だからできたのかもしれない…。    だが、自分よりも20から22歳は必ず年下の男に惹かれるナンテ。昔は年下は基本問題外!!で、例え1、2歳下でも嫌だった。何か子供じみた感じに思えて。(タレントや俳優なら話は別で、好きだったが。     そして昔は、相手がアメリカ兵だと年下でも付き合っていたが。結婚して、アメリカに定住する為に。その何十年後には、結婚せずに、移住できたが。) 父親が一度もいた事の無い自分だからか、やはり男は絶対に年上志向だった。そういや、私の20数年前に結婚した元夫であるイギリス人も年上だった。                  だが最近、この年になると別に嫌じゃない。不思議だが、そうなるのかもしれない。  30代半ばから後半位だとかは、タイプにも寄るが、大丈夫だ。           だからか、何となく小松菜に惹かれたし、今も嫌いじゃない。だが、ああした朝帰り的な事をして頻繁に署に出勤していた。その後、(彼が引き込み?!)、他の警察官も多く見る様になり、今じゃもうそれが当たり前状態。なら、ノンフィクションストーリーとして書かれても仕方ない。           そして、それを頻繁にやっている連中は、秋の人事異動で何処かヘ飛ばされたら良いのに!内部でなくて、他に。        ブルなんて頻繁だから丁度良いのだが、世の中は皮肉で意地悪いから、どうせそんな事も無いのだろう。ブルの事も別に嫌いではない。(彼が普通の女や、ホステスでも日本人のキャバクラの女には丸でモテないし、だから女には簡単に騙され安いタイプだとこの2つは恐らく確定できるから。) やってる事が嫌なだけだ。             だからああした男はその行為前に、女の部屋で、妻や子供が直ぐ側に正座して見ているのを想像したらどうだろう?例えば、妻が同じ様な派手派手パンティーの、上はトップレスで。                  妻はすぐ近くに座って、次は自分の番だと待っている。夫が若いホステスと戯れるのをジッと見ながら。複雑な表情で。そうした事を想像したら良いし、したらこっちは嬉しい。これを小松菜もブルも、他の警官も想像してみたらどうだろう?萎えるんではないか?どうだろう??(だが、意外と逆効果で、余計に興奮するのだろうか?! )      今日は敬老の日。だから、ババァの私だから、こんな事を書いても今日は許されるだろうか?                 そして偶然にも今日は、我が犬の誕生日だ。"不審者"(小松菜)の耳を噛んだ、私の牡のシェパードの。            さっき、大きなペットショップのコジマで買い物をして、ラムの骨を買って与えた。  嬉しそうに頬張る姿が愛おしい。他の犬達にも、又彼にも、違うオヤツも与えた。そしてヘッポコの私は、(酒に気をつけながら)、 ワインを口にする。           終.                                                                     

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