第86話

お年寄りは、元気な方もいる。

高齢でも、登山や水泳を趣味にしているアウトドア派な方も多い。


なので、それなら驚きはしない。

ていうか、既に見ているし・・・


「驚いたかい?泰道ちゃん」

さくらの、ひいおばあちゃんから、尋ねられる。

僕は、頷くしかなかった。


「おばあちゃん、泰道くんは、こういうの好きなんだよ」

さくらは言うが、話した事はない・・・


あっ、ここへ入る時の履歴書?に書いていたか・・・


「どうじゃい。驚いたろ?」

確かに驚いた。


部屋一面に、レイアウトが引いてあり、多くの鉄道模型が並んでいる。

壁には、鉄道の写真や方向板などが、貼り付けられている。

列車と一緒に撮った写真も多い。


あれはたしか・・・


四季島と瑞風とななつ星・・・


「ひいおばあさん、制覇したんですか・・・」

「クジ運は、良くての」


いきなり話出した。


「私は、飛行機は嫌いでの。鉄道しかのらんのじゃ」

「じゃあ、昔の富士とかさくらとかはやぶさには・・・」

「全部乗った」

「そうなんだ・・・」


鉄の力は凄い。


「さくらの、ひいおばあさん」

「何じゃな」

「失礼ですが、お名前に富士の名は・・・」

「入っておるよ。私の名は、富士子だよ」


なるほどね・・・


「旦那さんは・・・」

「隼人という」

「・・・そうなんだ・・・」


凄すぎる。


「泰道くん、もうわかったね。私の名前の由来」

さくらが言う。


「ああ、わかったよ。4人全員ね」

「えらい、えらい」

さくらに、頭を撫でられる。


えらくない。


「ただ、私の鉄の趣味は、子供や孫には理解されなかった」

「でも、ひ孫さんには、理解されてますよね?」

「ああ」


嬉しそうに語る。


付き合いの幅が広くなった。

喜んでいいのか、悪いのか・・・


ちなみに、4姉妹の長女のあすかは、あさかぜのもじり。

みずほとさくらは、そのまんま


四女の、さおりも、漢字で書くと早織。

苦しいが、はやぶさのもじりになる。


「泰道くん、ついでだから話すと、お父さんはつるぎで、お母さんはマリだよ」

日本海→海→マリン→マリね・・・


「亡くなった、おじいちゃんは、平和からかずへいで、おばあちゃんは、つる」


細かいことは、気にしないでおこう。

男の子だもん。


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