第85話

「せっかくだから、上がっていきなさい」

さくらのひいおじいちゃんの言葉に甘え、おじゃまさせていただくことにした。


「おじゃまします」

一礼をして、靴を揃えて、上がらせていただいた。


そして、驚いた。


動物がたくさんいるのは、予想していた。

しかし、人間以外はいなかった。

なので逆に、驚いたのは・・・


「さくら・・・」

「何?」

「失礼だけど、おいくつなの?」

「おじいちゃんと、おばあちゃんは、今年で82歳だよ」

凄く元気だ。


となると、その上である、ひいひいおじいちゃんと、ひいひいおばあちゃんは、

100歳は超えているわけだが・・・


それは、置いておこう。


ただ・・・

「若いね、おふたり」

「うん。よく言われるよ。肉体年齢は・・・」

そういう意味ではない。


部屋のあちらこちらに、アイドルのポスターが貼られている。

過去のアイドルではない。

現役のアイドルだ。


おまけに、美少女フィギュアがたくさん飾れている。


「あのう、おじいさん」

「どうした?泰道くん」

「これは、おじいさんの趣味ですか?」

「そうじゃが、変か?」

ええ、正直驚きました。


趣味というものは、語りだしたらとまらない。

ここまでコアだと、逆にすがすがしい。


でも、奥さんである、ひいおばあさんは、理解があるようだ。


「泰道くん」

「どうした?さくら」

「驚いているところ悪いけど、ひいおばあちゃんの趣味はもっと驚くよ」

「どうして?」

さくらは、手招きをする。


それに、着いていく。


「おばあちゃん、いい?」

「さくらちゃんかい?何がだい?」

「泰道くんに、見せてあげて」

「いいよ。お入り」


さくらは、ひいおばあちゃんの部屋のドアを開けた。


それを見た瞬間、言葉を飲み込んだ。


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