第60話

眼が覚めた。

昨日の事は、ドキドキして、覚えていない。


さくらの唇の感触は、残っている。

僕のファーストキスは、こうして奪われた。


その後、さくらとふたりで、食事をしたのは覚えている。

何を話したかは、記憶があいまい。


ただ、大人しかったのを覚えている。

いつもの、さくらでは、なかった。


ちなみに、カップ麺と、さくらが作った、個性的なおむすび。

炭水化物同士は、よくないのだが、気にしないでおこう。


思い出しているうちに・・・


「ヤスミチ、オハヨウ、オキロ」

インコのパンナが、飛んできた。


「パンナ、お早う」

「オハヨウ、オハヨウ」


僕の部屋にいる、イワトビペンギンのQちゃんとも、溶け込んだようだ。

同じ鳥類だからな・・・


≪パンナはいいな、空を飛べて≫

≪嫌、飛ばなくてすむのなら、飛びたくないんだよ≫

≪贅沢だよ。パンナ≫

≪Qちゃんこそ、泳げてうらやましいよ≫

≪ここでは、出来ないよ≫


そんな、会話が聞えてきた。


「泰道くん、おーきーろ」

さくらが、元気よく飛びこんできた。


「もう、起きてるよ・・・って・・・」

さくらの顔を見てしまう。


「どうしたの?私の顔に何かついてる?」

いつも通りのさくらがいた。


「早く朝ご飯、食べよう。私も付き合うから」

「いいの?」

「うん。お友達とご飯を食べるのは、当たり前だよ」


そういうものなのか?

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