第53話

部屋で待つ。


さくらのスカート姿・・・新鮮だな。

まあ、あまり期待はしないでおこう。


でも、思春期の男子としては、気になる・・・


数時間後


「泰道くん、お待たせ。ドア開けてくれる?」

いつも勝手に入ってくるのに・・・


「お願い、ドア開けて」

「うん、わかった」


しぶしぶ、ドアを開ける。


見た瞬間、驚いた。


「さくら、それ・・・」


女子高生だ。

まぎれもない制服姿の、女子高生がそこにた。


「どう?似合う?」

くるっと、回転するさくら。


今時の女子高生が、着るようなおしゃれなブレザー。

そして、ミニスカート。


手には、通学かばんを持っている。


「どう、驚いた?」

「うん。かわいいよ。お世辞抜きで」

「ありがとう。でも、スカートは制服しかないんだ」

「私服では?」

「持ってないの・・・」


少し、残念そうだ。


待てよ。

その制服は確か・・・


「気がついた?泰道くん」

「うん」

「私の高校は、君の通っていた高校だよ」


そうなんだ・・・


「でも、さくらは17歳だよね?」

「うん。」

「僕と同級生?」

「違うよ。私は早生まれだから、学年はひとつ上になるんだ」

「そうなんだ」


さくらは手を叩く。


「せっかくだから、高校時代に戻ろうよ」

「どうやって?」

「思春期の男女が、肩を並べて歩く。憧れでしょ?」

「いつも、やってる」

「今日は、特別」


腕をからませてくる。


「さあ、行こう。」

「どこへ?」

その問いに、さくらは答えた。


「デートだよ。デート」




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