第37話

バイクは走る。

風を切り・・・


さくらは、楽しそうだが、僕は怖い。

話す世裕がない・・・


赤信号で、バイクは止まる。


「泰道くん」

「何?」

「気持ちいいでしょ?」

ここで否定をしたら、降ろしてくれるのか?


「ところで、さくら」

「何?」

「イルカって、ドルフィンだよね?海にいる」

「そうだよ」

「イルカって名前の、他の動物じゃないよね?」

「正真正銘のイルカだって。ついての、お楽しみ」

信号が青になる。


バイクは走りだす。

風を切り・・・


僕は、怖い。

遊園地の絶叫マシンなんて、乗れない。


さくらは、好きそうだな。


でも、ド田舎でも信号はあるんだな・・・


ある場所でバイクが停まる。

建物があった。


「ここに、イルカがいるの?」

「いると思う?」

「思わない。」

「正解。小休止」


建物の中に入る。

なるほど、食堂か・・・


あっ、さくらは食べてなかったか・・・


「ところで、さくら」

「何?」

「僕にさせる、社会勉強って・・・」

「いつも、してるけど・・・」

確かにある意味では・・・


「そうでなくて・・・この間の食事作りで・・・」

「ああ、あれね。大丈夫。今から行くところで説明するから・・・」

「そう」


注文もしていないのに、料理が運ばれて来た。


「さっ、食べよ。泰道くん」

「さくら、これは・・・」

料理を見て、愕然とした。


「ステーキだけど・・・嫌い?」


もう、驚かない・・・

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