第19話

「さくら、ここは?」

「図書室」

「それは、わかるけど・・・」

図書室まであるのですか・・・


ここで、一生生活できそう・・・


「いい、泰道くん」

「何?さくら」

さくらは、咳払いをする。


「まずはじめに、私との約束、覚えてる?」

「ファーストネームで呼び合う。敬語は禁止」

「正解。でも、後者は守ってないね」

「いきなりはできません」

「まっ、こっちはおいとくは」

さくらは、そのしぐさをする。


「泰道くん、君は体を壊してここにきました」

「そうです」

「学校は、休学状態だよね?」

「うん」

さくらは、続けた。


「でも、勉強は休ませないわよ。君には、ここで社会勉強をしてもらうわ」

「それは、落ち着いてからって・・・」

「そのための、テストを行うわ」

「テスト?」

さくらは頷く。


「このテストに合格すれば、すぐに社会勉強を開始します」

「不合格なら?」

「後日にするわ」

普通、逆じゃ・・・


「で、テストって何?」

「今晩、私に手料理をふるまいなさい」

「ワンスモア?」

「だから、泰道くん、君が私に、君の手料理をふるまうの」

冗談なのか、本気なのか、わからない・・・


「で、何を作るの?」

「君に任せる」

「任せるって・・・」

「台所はわかってるね。わからなければ、ポチに訊いて」

ネコ頼みですか?


「じゃあ、楽しみにしてるね」

さくらは、去って行った・・・


茫然と立ちつくしてしまった・・・

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