第11話

予想をはるかに、裏切られた。

僕は、てっきりイグアナ辺りかと思っていたのだが・・・


「泰道くん、驚いたでしょ」

「ああ、一番・・・」

さくらさんの声に、ふりむかずに答える。


「かわいいでしょ?」

「女の子は、何でもかわいいんだね」

「うんん。君もかわいいよ、泰道くん」

「どうもね・・・」


「あの子、ひとくんっていうんだよ」

「ひとくん?」

「うん。害はないから安心して」

そうは言ってもさすがに、驚く。


「さっき、千夏さんというご婦人に、『驚く』と言われたけど・・・」

「ああ、畑千夏さんね、あの人も長いけど、最初は驚いてたよ」

慣れとは、恐ろしい。


「でも、ペットに出来るの?」

「飼育下で、幼体からかいならしたから、適応しているよ」

何かあったら、どうするんだ?


餌は、いいのか?


「では、泰道くんに、改めてご紹介、コモドドラゴンのひとくんです」

こっちをみてる。


おいおい、本当に大丈夫か?

人を食った例もあるぞ・・・


「ここは隔離してあるから、他の動物とは対面しないよ」

「そう・・・」


わけわからない・・・


「どっと疲れた・・・今日は寝る・・・」

「うん、お休み・・・」

「ありがと」


去ろうとする。


「泰道くん、これからよろしくね」

「うん・・・」



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