第81話 エリュシオンライトノベルコンテストの総評分析、新人賞と小説進化論

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 「筆をおかなければ必ず次のチャンスはめぐってくる」ということは事実ですが、気休めでもあります。今回、審議においてふるい落とされた作品は、アイデアそのものは素晴らしいものの、読者に対して読ませるという姿勢が不十分、あるいはもう少しという作品が多かったです。


 コンテストにおいて最後の最後まで受賞を争い、残念ながら落選となってしまったとある作品がございました。こちらの作品は高い文章力で読者を引き込む作品ではりましたが、文章量がストーリーと比較して多く、「もしこの作品の同じ内容を2/3ほどに圧縮することができれば‥‥」と、惜しまずにはいられない作品でした。


 一次選考の総評でも指摘されましたが、Web小説の素晴らしい点であると同時に落とし穴になってしまうことは「文字数制限がない」ことにあると思います。素晴らしいアイデアでも、だらだらと関係のないシーンが続いてしまいますと、どうしても読者の興味はそがれてしまいます。


 アイデアについては私が述べずとも日々新しい発想がなろうから生まれていますが、新人賞といえども、あるいは新人賞であるからこそ、書籍化の際の文章的なハードルはあります。これから新しい小説を執筆される方は、ぜひプロローグから読者を引き込む文章、要素を詰めこみ、圧縮した文章というものを心がけていってください。


エリュシオンライトノベルコンテスト

http://www.wtrpg9.com/novel/(サービス終了)

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>これから新しい小説を執筆される方は、ぜひプロローグから読者を引き込む文章、要素を詰めこみ、圧縮した文章というものを心がけていってください。


 

 特に重要な部分はこの部分ですが、


0、斬新なアイデア。

1、プロローグがひとつめのクライマックスになるように。

2、読者を引き込む文章力と要素を詰め込む。



 これを将棋に例えたらわかりやすいのですが、将棋界は羽生さんという新世代の登場で、今までの師匠について内弟子になって将棋の上達をはかるというスタイルから、パソコンやデータ主義の発展で、定石、実戦を研究する研究会の時代へと移行します。


 小説の世界では新人賞を取って、見込みのある新人に編集者がついて育てるような方法でしたが、今は『小説家になろう』のように読者の嗜好を直接、作者が読み取って、小説を書く→人気が出てた作品を書籍化するという流れになっています。


 こういう時代においては、自分の書きたいこともありますが、読者の嗜好を作品に詰め込んだ方が人気が出るし、人気が出た作品は書籍化されていくという方程式が成り立ちます。出版社としてもはずれが出にくいというメリットがあります。


 アイドル界のAKBの台頭などもこれと同じような現象です。


 小説、漫画、映画やエンターティメントの世界では同じようなことが起こってますね。



 新人賞という特殊性をこれに加味すれば、例えば、西尾維新さんが新人賞に『物語りシリーズ』を投稿したら、たぶん、受賞の可能性は高いですが、『伝説シリーズ』(悲鳴伝などの作品群)を投稿したら、たぶん、最悪、下読みで落ちていただろうと思われます。


『伝説シリーズ』(悲鳴伝などの作品群)

http://kodansha-novels.jp/1204/nisioisin/index.html



 実は今、『悲鳴伝』という伝説シリーズを読んでいるのですが、最初の70ページぐらいは面白くないというか、事前説明が長く取ってあって、西尾維新という名前を伏せたら、果たして『小説家になろう』でランキング上位にいくかは難しい可能性もあります。


 この作品、70ページ過ぎた辺りから300ページぐらいまで一気に読んでしまうというか、全部読んだら非常に面白い作品なんです。西尾維新という作家に対する信頼で僕は最初を我慢して読んでる訳です。


 栗本薫の「グイン・サーガ」シリーズを新人賞に出しても果たして入選するかどうかは怪しいのです。


 新人賞に通る作品と、その後の作品傾向が違ってしまう作家は沢山います。


 特にシリーズ物は新人賞に出すのではなく、作家になってからじわじわ出していくもので、最初は読み切りのような新人賞向けの対策した作品を書くべきかもしれません。


 新人賞は入学、入社試験的な要素があって、それなりの作品を書く必要がありますね。


 

 それは何故なのか?というと『ぜひプロローグから読者を引き込む文章、要素を詰めこみ、圧縮した文章というものを心がけていってください』と言われているように、それが今の時代の小説の書き方の定石だという単純なものです。読者の要望というか。



お気に入り数100件を超えるために、7つのステップを大紹介! 作者:楠木 雄介

http://ncode.syosetu.com/n2399ce/(リンク切れ)



 この辺の解説を読んでもらえたら分かるというか、将棋界で起こったことがここでも起こってるんですね。この流れはもう止めようがない。


 小説の進化論というか、そういうものだと思います。


 


 こういうのが『時代の空気を読む』というものですが、書籍化されるような、こういう世代と同じような『感性』を持った20代ぐらいの書き手には、そんなことは読むまでもなく、身についているし、そういう書き手から書籍化作家が自然に生まれて来るともいえます。


>「筆をおかなければ必ず次のチャンスはめぐってくる」ということは事実ですが、気休めでもあります。


 だから、今、売れる要素を自分の作品に取り込んで、自分独自のオリジナリティを入れて書いたとしても、そういう『感性』(センス、才能)がないとやっぱり書籍化は難しいということです。なろう周辺の出版社においては。


 一般の文芸作品とかの新人賞に応募した方がいいです。



 

 それと、『忍耐力』についても、書籍化される作家にとって、忍耐力など必要ないというか、書くのが楽しいので、忍耐ではないというか、そういうことになってしまいます。


 『空気を読む力』『忍耐力』は凡人向けのアドバイスで、書籍化される作家にそういうものは必要ないです。そういうことは自然にできているので。


 東大とかに合格する人は、理解力や勉強方法などの戦略、凡人から見たら『忍耐力』としか映らない長時間の勉強が自然にできる人だったりします。



 ただ、僕のような凡人の戦い方には、『空気を読む力』(戦略)と『忍耐力』(努力、量稽古を持続する力)は必須です。


 特に『忍耐力』はゲームに例えると、レベル上げのようなようなもので、無駄と言えば無駄だけど避けて通れないものです。


 センス、才能=『チート能力』があるとこれはクリアできてしまいます。

 ゲーム小説と同じことが、現実の世界でも起きてるのです。


 「小説家になろう」のチート小説の中で起きてることは、この「小説家になろう」の小説の書き手の世界でも現実に起きてるノンフィクションストーリーなんですよ。


 あれって、実話なんですよ。


 

 ただ、『スラムダンク』のように、スポーツ漫画と言えば、野球漫画という流れを一瞬にして変えた漫画もありますし、未来の小説界の流れなど僕には読めません。


 未来は未確定だし、『ソードアート・オンライン』のように、ゲーム小説のジャン自体を切り開くような作品が出て欲しいなあとも思ってます。


 僕は古事記とか、古代史とか、歴史小説の分野で新しい流れを作れないかなとも思ったりしています。


 陰陽師とか、その作品自体が人気ジャンルになるような、多くの模倣者を生むような作品が書けたらいいですね。











(あとがき)



 仮想通貨XPの日本コミュ二ティが本部を見捨てて新通貨に移行するという事件がおきました。

 知ったのは昨日ですが、開発が全く進まず、もう詐欺というか、たぶん、開発能力がなかったんでしょうね。

 いい選択だと思います。



2018/5/21 6:20

https://www.alphapolis.co.jp/novel/771049446/375169170/episode/1065494


2014/07/16 15:42

https://ncode.syosetu.com/n4163bx/81/

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