第13話
なんか・・・、急にガックリ来た。個性的すぎる猛者どもに対し精神がやられたんだろう、俺のライフはゼロに近い。心なしか身体も熱く感じて・・・、って、いやこれヒートきてるだろう!
そんな馬鹿なと俺は慌てて自分の顔に手を当ててみた。熱い。おでこにも。・・・熱い。なんだか体中が気づけば熱い。
気のせいなんかじゃない、症状が進んでるじゃねぇかー!!
説明しよう、この日本国でのアルファのヒートは主に体温上昇、ふしぶしの痛み、倦怠感、頭痛が加わったものである。ってただの風邪やないかい!
抑制剤を飲んでない分、症状がどんどん悪化してきているのだ。さしずめスタートがのどがいがらっぽい、悪寒がするという風邪の引き始めのようだとすると、次が本格的に熱が出る状態となり、それがインフルエンザ並みに移行しようとしている。
ちなみに本当に風邪を引いているわけではないので、せきも出なければ鼻水も汗も出ない。不思議不思議って__。
おいおいおい鼻水も汗も出なければ体温を下げられないやないかーい。俺は中学時代に一度インフルエンザにかかった事があるが、あの時で38度だった。人間は体温何度までなら耐えられるんだろうか。大丈夫。体感からまだ38度越えはしていない。だけど身体はめっちゃ熱いしだるいし頭は重い。俺、死ぬ。死んじゃう。
ヒートなんてひたすら辛いだけで、他の国で言われる性欲上昇なんてある意味ドラマチックな脳のイカレ方はしない。いやこんなに身体が厳しいのに性欲も何もあったもんじゃないだろ逆に萎えまくりだわ。今体温何度なんだろう。
って死ぬだろうこのままでは!貞操の危機はなくても俺の命が風前の灯火だろう!!
命の危機だと我に返った俺は最後の気力を振り絞り、残る男女の面談を猛スピードで終え同時に年齢などを理由に全員から断られ何か色々と疲れた。
いろんな意味で「おつかれさまー」と去って行く人々を見送り、こ、これでやっと家に帰れる、と一歩踏み出した時、俺の身体は高熱でふらりとよろけた。まずい、と思った瞬間、後ろから誰かががっしりと抱き留めてくれる。
「あ、すみませ・・・、げ」
「何が‛げ’だ。フェロモンだだ漏れさせやがって」
抱き留めてくれたガタイの良い長身の主は、同じ高校の同級生アルファだった。いかにもなアルファの典型で、才色兼備だが高飛車な態度な奴で気に食わない。待てよ、こいつがいるって事は・・・、
「のわあ!! 」
気付けば俺は同じ高校のクラスメイト達に取り囲まれてしまっていた。
やべぇ、もたもたしすぎた。今やあふれ出しているであろう俺のフェロモンで学生のやつらも来てしまった。幸か不幸かこの近辺の学校は俺の通う高校しかないから人数こそ少ないが、社会人以上にめんどくさそうな事になりそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます