第11話

もう嫌だ。年上のお姉様方怖い。と言うか女が怖い。女性不振になりそうだ。今思えば外見だけ見て拒否した最初の人達の方がよほど純粋で良い人なんじゃないだろうか。

今の心境はまるで蛇に睨まれた蛙、狼の群れに放り込まれた子ヤギ、森の中でくまさんに遭遇、ってどれも即死亡じゃないか! 俺、こんなに精神ごりごりに削られてお見合いを続けられるんだろうか。


お姉様方が去った後も、俺は地面を見つめたまま産まれたての羊の赤ちゃんよろしく精神的にガクブルしていると、

「やっと順番が来たか。大変だったね。やっぱり女性って怖いなあ」と軽快な声が聞こえ、思わず顔を上げた。

お、男がこれほど嬉しい日が来るなんて。

目の前には高そうなスーツを着た30代くらいの長身イケメンが「俺はそういう事ないから安心して」と爽やかに笑っている。幾分ほっとして、

「あ、アルファの17歳、高校生です」と言えば

「大丈夫。最初から言わなくても分かってるよ。さっきの女性達デリカシーないよね、声が大きいもんだからさ、君達の話の内容全部筒抜けで待ってる皆に聞こえてたよ。だから君はもう同じ事話さなくていいから。ね? 」

とイケメンが後ろを振り向くと、いつの間に話をつけてくれていたのか、待っている皆さん無言で頷いてくれる。

地獄に仏とはこの事か。思わず両目に涙を浮かべながら合掌していると、肩をむんずとつかまれた。

ん?

「ふうん。細そうに見えてしっかり筋肉ついてるじゃん。いいね」

へ?

彼はそのまま片手を俺の項に移し、背骨の上から腰骨のあたりまで上から下にゆっくりと撫でていく。

「っあ!?」

「お。感度いいね」

と言いながらそのまま両手で俺の腰をがっちり掴んだ。

「ひぃあっ!?」

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