第8話

 清めの儀式を終えた翌朝、白銀はくぎん赤土あかど支部を訪れた太朗たろうは屋内に置かれた掲示板に張られているEランクの依頼を眺めた。


 つちりょうの領主、土田つちだ家が冒険者アドベンチャー産業の促進やの汚染を防ぐ前線基地の役割を担う目的で作った赤土町あかどまち土領つちりょうで最大の魔界マカイ紅樹魔界こうじゅまかい〟の近くにある。


 つち領が属する国〝五国ごこく〟の中で3番目に広い魔界まかい紅樹魔界こうじゅまかい〟の近くにある白銀はくぎん赤土あかど支部には多くの依頼や冒険者アドベンチャーが集まっている。


 赤土あかど支部で扱う依頼の数は多く、A~Eランクの依頼はランクごとに異なった掲示板に張られている。

 依頼数が少なく、施設も小さい支部は一つの掲示板に複数のランクが張られている――と噂で聞いたが赤土あかど支部はどちらも充実していた。


 Eランクの依頼は納品依頼が多く、基本的に討伐依頼は無い。

 討伐の確認を不要とする納品依頼は依頼品を納品受付へ渡し、鑑定の結果、品質に問題が無かった場合、納品が認められ、納品数に応じて報酬金を得られる。

 依頼内容によっては品質で報酬金が変わる場合もあるが殆どの依頼は数だけで決まる。


 Eランクは殆どが納品依頼だがDランクへ昇格する際、Dランク相当の討伐依頼を昇格試験も兼ねて行う場合がある。

 昇格試験を受けるにはDランク相当の実力がある、と白銀はくぎんから認められる必要があり、そのためにEランクの依頼を幾重も達成し、実績を積む必要がある。

 白銀はくぎんから実績が認められたEランク冒険者アドベンチャーはDランク昇格試験を申し込むことが出来、試験官と依頼が決まり次第、手紙が送られる。


 白銀はくぎんルールなどは黒土都こくどとの治安部隊で共に暮らした衛兵の中に白銀はくぎん冒険者証アドベンチャーライセンスを持っていた人が居て、その人から教わった。

 能力や才能の差を感じ、Dランク冒険者アドベンチャーを辞め、黒土都こくどとの衛兵になったらしい(本人談)。

 衛兵の皆さんから教わった事が活きている、と何度も実感している太朗たろうは他人を見下し、傲慢だった自分の愚かさが忘れられず、まことさんや衛兵の皆さんに出会い、救われた自分は幸運だと思い、裏切らない為にも頑張ろう――と気合を入れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る