第6話

 赤土あかどまちに着いた太朗たろうは馬車を降り、冒険者同業組合アドベンチャーギルド白銀はくぎん赤土あかど支部へ向かい街中を歩いた。


 赤土あかど支部の受付へ行くと受付嬢から「ご用件は何でしょうか?」と問われ、

冒険者証アドベンチャーライセンスを受付に置き「黒土都こくどと白銀はくぎん赤土あかど支部の宿舎利用と紅樹魔界こうじゅまかいの活動許可を申請した山田やまだ太朗たろうですが……」と答えたら、

「確認しますので少々お待ちください」と言い資料を探しに受付を離れる姿を見送った。


 資料と共に戻ってくるまで手持無沙汰になり、屋内を見渡しながら時間を潰していると、黒土都こくどとで申請していた書類を見つけ、受付へ戻ってきた受付嬢から「申請した書類は、こちらで間違いないでしょうか?」と求められ、確認した後「はい、間違いありません」と答えた。


 申請内容を読み上げながら丁寧に確認する受付嬢の言葉を聞きながら、黒土都こくどとで書いた時、何度も確認したから問題ないはず――と自信がない心を励ました。


 申請された書類に不備はなく、提出していた冒険者証アドベンチャーライセンスとも情報が一致し、赤土町あかどまち管轄の魔界マカイ紅樹魔界こうじゅまかい〟のEランク区域エリアの空きがある事から活動許可が下りた。

 実績がない事から許可された期間は1か月だが実績に応じて延長し得る可能性もあり、延長できるように頑張ろう――と前向きに考えた。


 黒土都こくどとで申請していた書類が機能し、宿舎の空きも確保されていた。

 白銀はくぎん赤土あかど支部が管理する宿舎を利用する為に書類へ記入して欲しいと受付嬢から求められ、

 「宿舎を利用できる期間は紅樹魔界こうじゅまかいの活動が許可されている期間と同じ1か月になります」と告げられ「分かりました」と早々に答え、

 料金などの説明を受けた後、指で示された契約書の項目に個人情報などを記入した。

 記入した情報などを読み上げ、最終確認を求める受付嬢に「大丈夫です」と答え、差し出された容器に入っている染料へ指先を漬け、指紋を用いた判を契約書に押した。

 提示された契約金を払い終えたら、不要な宿舎利用契約書を片づけた受付嬢から別の書類を渡され「この書類を宿舎の受付へ渡してください。渡さないと宿舎を利用できないので、紛失しないように注意してください」と言われた。


 白銀赤土はくぎんあかど支部で行う直近の用事が終わり「ありがとうございました」と告げたら「これから1か月間、よろしくお願いします」と言われ「お世話になります」と答えた太朗たろうは宿舎に向かい白銀赤土はくぎんあかど支部を出た。


 赤土あかど支部の近くにある宿舎の受付で書類を提出すると、書類の確認を終えた受付嬢から、部屋番号の板が付けられた鍵を渡されながら、口頭で部屋の場所を教えられた。

 部屋へ行き確認を終えると寝床を確保した安心感から、空腹が気になり、宿舎の食堂へ向かった。

 慣れない馬車移動や手続きに緊張して疲れた身体や精神を休めるため、早々に就寝することにした。

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