第一章5  『光①』

「はぁ…はぁ…」


 息を切らし佇むフェザー。

 広げていた片翼は、萎らしく折りたたみ、淡い光の塵となって消えていく。


 土煙が舞う中で、腹部に空いた風穴、垂れ零れる血痕を手に、その痛みに耐えながらも崩れそうになる身体を意志だけで支え、目は相手から離さなかった。



 ――何故なら、



「おっほ…おっほ…」


 視界を阻む煙の中に、倒したはずの相手の影があったから。


「なぜ、まだ立っている……」


 息をするだけでも苦しいのに、声を出すとより一層傷に障る。

 それほどまでに、信じ難い光景だった。


 並の人間なら死んでいるはずの混合魔法。

 それなのに何故、あいつは立っているのか。


 けれど、その答えは明白で。


「間一髪、だな……」


 ギリギリの采配だとでもいうように、冷や汗を垂らしながら彼は言う。



 霧が晴れるように舞う砂煙が収まる頃、目の前に広がっていたのは、何枚にも展開された透明な球体を描く壁が張られていた――。


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