愁いを知らぬ鳥のうた ※

 大空に翼広げて飛ぶ鳥の

 視界にうれい入る余地なし



 せめてこの歌の主人公みたいに

 愁いを知らぬ鳥になりたい



 何となく「どうにかなる」で構わない

 僕らは今日も生きているから



 いつの間に随分歩いてきたけれど

 信じたものは ずっとそのまま



 がむしゃらに走り続けてきた過去に

 落としたものを拾いに行こう



 悲しみも愁いも置いて見上げれば

 空には雲のひとつもなくて



 天高く「痛いの痛いの飛んで行け」

 幼子の言う呪文が溶けた



 籠の中飼い慣らされた鳥の世の

 平穏無事と美しい声



 いつか来る別れの翳に怯えないで

 黒い瞳の光仄かに



 天国があるならきっとこんなだと

 思うと言った君の面影

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