虚実

 偽りの自己紹介で始まった

 あなたと紡ぐ真実一路



 子の親であろうと君は君であり

 君が好きだと あなたは言った



 ママじゃなく名前を呼んで

 キスをして燃える瞳で見つめ返して



 夜明け前 必ず帰るあなたには

 他人ひとに言えない事情わけがあるから



 愛なんて寂しいふたりが抱き合えば

 すぐに芽生える化学反応



 永遠に続けばいいと願う時

 どこかで既に諦めている



 可愛いね 綺麗だねって言わないで

 いつか消えゆく若さが怖い



 痛みさえ あなたがくれたものだから

 失くしたくない独り身の朝



 何もかも失って知る

 あなたには失くすものなどなかった事を



 憎しみも感謝も今は消え果てて

 遠い昔の夢か幻



 街角ですれ違っても

 見過ごしてしまうほどには老いた今でも

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