第二章 第八話 思い出のリュックサック
気がつくと
亮夜が鳥居の方を見ている。何かあるのか?
振り向くとそこに岩城が立っていた。
「やぁ、待たせたかい? ふっ、水島。すごい顔だね」
そう言いながら岩城は東屋に入り、亮夜と俺の間の丸椅子に腰掛ける。
「顔っていうか。仮面だけどな」
「岩城くん。今回のことだけど」
「そうだね。現実世界で言ったけど、今回は水島が本当に重要だよ。君が囮になってくれないとこちらが侵入することができない」
「で、どう
「それはねぇ……」
岩城が言うには襲撃された場所は、
また岩城は「神代さんはそこにいると思うよ」と発言した。亮夜が首を傾け「なんでわかるんだ?」と質問する。
「彼女は慎重なんだよ。今回、切り抜ければ会ってくれると思うよ」
亮夜が机に肘をついて大きな頭の仮面を凭れさせながら「ふーん。何様なんだか」と
「わからなくはないけど。彼女はそれぐらい強いんだよ。で、君たちを
『戦えるか』か。現代の日本ではアニメやゲームでしか、聞かないよな。アニメのキャラクターがよく漫画の世界じゃねぇんだからと言うが、実際はそれしか例えようがないのだ。パラレルワールド? 幽霊? オカルト? 実際いるんじゃないだろうか。なぜなら俺が今、ここでありえないことを体験をしているからだ。
それでもありえないと言う人がいるのならば、それもいいだろう。それは幸せなことだ。
「……くん、大神くん?」
「ん?」
「話聞いてた? 今はぼーっとする時間じゃないよ」
「ごめん。聞いていなかった」
「どうしたんだ宏? 具合悪いのか?」
「いや、ただ考え事をしていた」
「そうか、なら良かった」
「話って?」
「うん、もう一回言うよ。作戦は実に簡単。水島が東の道で大暴れするから。その間に僕たちが西の道から侵入するよ。わかったかい?」
俺は「うん」と顔を盾に振る。
「ならよし! じゃ、水島。トゥクトゥク出して」
「ん? トゥクトゥク? なんだそれ?」
「んーそうだねー、後ろに人を乗せれる三輪バイクを出してくれるかな?」
「あぁ、わかった」
「それじゃ、行こうか」
そう言い俺たちは一斉に立ち上がり、東屋を出て門を出る。
亮夜は道路に瓢箪を投げ「オン・マニ・パドメー・フン」と呪文を唱える。瓢箪はトゥクトゥクに変わりそのまま着地した。
「うわー、久しぶりだなー。そうだよ、これこれ」
誰よりも先に岩城がトゥクトゥクに近づき、後部座席を見て止まる。
「岩城、どうした?」
「なにかあったのかい?」
俺たちもトゥクトゥクに近寄ると、後部座席に謎のリュックサックが置いてあった。
岩城はそのリュックサックを取り出し、慌ててチャックを開け、中身を見る。
「ここにあったんだ」
そう言いリュックから取り出したのは、使い古されたトランプカードの箱であった。
それを見た瞬間、彼の瞳から涙が溢れ、リュックごと抱きしめ、崩れるように膝をついた。
「いたんだよ。……ちゃんといたんだよ」
何が起こったのかはわからないが、俺たちは岩城を見るしかできなかった。
「なぁ、宏。俺もあんな感じだったのか?」
「あぁ、そうだ」
「マジかぁ」
彼が落ち着くまでただ見ているのであった。
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