ある手紙

石野二番

第1話

先生へ


 お元気ですか?あの時のケガはもう癒えたでしょうか。私を庇って先生が負った、あのケガです。私は、あのケガが私を生かし、私と先生を別れさせたと思っています。

 先生は、私に人殺し以外を教えてくれた初めての人でした。先生が、私に世界というものを見せてくれました。それまで私にとっての世界は戦場だけでした。

 昨日、戦争が終わりました。周りの兵士が言うことには、私たちの勝利なのだそうです。先生のご友人が祖国に帰ると言うので、この手紙を託すことにしました。先生の読み書きの授業は途中になってしまったので、この手紙は兵士の一人にお願いして書いてもらっています。

 戦争が終わり、もう用済みだと言われたので、私はこの国を出ようと思います。先生が本で見せてくれた風景をこの目で見てみたいと思っています。

 いつか、先生の国にも行ってみたいです。また先生に会いたいです。その時は、また先生の生徒として読み書きの授業を受けたいです。

 最後に、先生ありがとう。私を武器で終わらせないでくれて。私を人間にしてくれて。あなたがいてくれたから、私は今笑えるようになりました。先生は私の光です。


                                ■■■より

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ある手紙 石野二番 @ishino2nd

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