第6話 ばかなんです

ノートに

田原たはら星七せな

何回も書いて

消す


消したことを

後悔して

消しカス集めて

吐くため息


先輩の

伸びてきた髪とか

そこに見え隠れするおでことか

悲しげな目とか

優しそうな鼻とか

笑わない唇とか

とんがったあごとか


気になって 朝 玄関に居て


意地っ張りにも見えなくもない首とか

だけどほんとは人を見下さない肩とか

不器用そうな右手とか

綺麗に使われてるカバンを持つ左手とか

独りの歩幅とか

行き急ぐわけでもない靴とか


知りたくて 放課後 が来て


明日から夏休み

学校に行く理由がない

夏休みになるからって焦る高二

僕くらいしかいないでしょ


先輩だって夏休み

学校に来る理由がわからない

部活には入ってなさそうな高三

なんて

僕の他に気になっている人はいるのかな


それでも


明日も玄関に

行ってみるしかない

明日も玄関に

立ったり座ったり

隠れてみたり

壁にもたれてみたり

ばかみたいに


恋をする



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