第3話 雨が呼んだ風
高校二年生です
好きな人がいます
三年生の先輩です
一歩踏み出した七月
大粒の雨に足止めされていた
僕に傘を渡し
そのまま立ち去って行きました
どういうこと?
翌日から傘を返そうと
玄関で待つ一週間
待ち人来ず
諦めかけたその瞬間
「あのっ、この間お借りした傘を」
思いの
言えた自分が
誇らしい
「探してたの?」
見下げる目が
「一週間待ってました」
あっ、余計な事を
やり直せるものならば
言い換えたい
「そうなんだ。ごめん」
謝る事じゃないし
助けてもらったのは
こっちなんだし
「ありがとうございました」
文字がそろりと傘を渡り
「別によかったのに」
伏せたまつげに重なり
赤い南風に包まれた
超接近の指先にさざ波
アホ過ぎる
恋の
その瞬間から
神様が吐いた息を
受けて
僕の片思いは地球を
行くあてもなく
不明瞭なゴールを求めて
巡り
巡る
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