秋の星

「見て、一番星!」


どんよりとした厚い雲の下、響き渡ったその無邪気な声に思わず私は視線を上げた。

きれいだね!なんてそんな声にそうねと隣の女性は返す。

私の少し前を行く男の子の手の中にはまだ熟しきっていない黄色い紅葉。

男の子はその左手を空に向かって大きく伸ばしている。

くるくると指先で小さな星を瞬かせる男の子ににこりと幸せそうに女性は微笑む。

あぁ、確かに一番星だ。

「お星様、いっぱいだね」

ここにも、あそこにも!と楽しそうに指を向ける男の子の後ろ姿に自然と私の頬が緩む。

黒いアスファルトの上に連なる大小様々な秋の星。

雨粒が街灯に照らされて優しくきらきらと輝いている。

まるで

「天の川みたい」

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