さけるチーズ
まっく
さけるチーズ
「高田、今度はどんな役に立たない発明をしたんだよ」
阿藤は扉を開けるなり、そう言って実験室に入る。
「相変わらず失敬だね君は。ちょっとこれを見てくれ」
高田は、仰々しい箱を阿藤の目の前に持っていき、蓋を開けて中身を見せた。
「チーズ?」
丸い棒状のチーズが一つ、箱に入っている。
「これは歴史的な発明だよ、阿藤くん。誰も作った事がない。名付けて『さけるチーズ』だ!」
高田はそっくり返って、渾身のどや顔をした。
「いやいや、さけるチーズなんて、前からあるぞ。俺、けっこう好きだし」
「まあ試してみたまえよ、阿藤くん」
「そもそも、ちゃんと食べれるやつなんだろうな、このチーズ」
阿藤が箱の中に手を入れ、チーズを掴もうとした瞬間、信じられない事が起きた。
チーズが、するりと阿藤の手を
いくら掴もうとしても、触れる事すら叶わない。
高田は、満足気な笑みを浮かべて、チーズを捕まえようと躍起になっている阿藤に言った。
「どうだい、僕の発明した『避けるチーズ』の味わいは」
さけるチーズ まっく @mac_500324
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます