第265話心の闇
妬み、恨み、ひがみ、怒り。ネガティブな感情は誰にでもある。自分の事を考えると、あるスイッチが入ると、この心の闇が起動するようだ。あるスイッチとは、他人の言動である。気分よく仕事をし今日一日楽しかったと思える日でも、嫌味なことを言われて最後に一日が台無しになることもしばしばである。
仕事では様々な人と関わる。なので私をよく思わない人も中にはいる。それらの人の心ない一言で私の心は闇に覆われる。闇の中で心は怒りに覆われる。この状態は仕事が終わるまで続き、不快感はとめどもない。しかし、根が単純なので翌日にその感情を持ち越すことはまれだ。寝て起きると気分はリセットされている。
だから、深く人を恨むこともなく、その時々の他人の言動に対する反動で心の闇が発動するだけである。
つくづく凡庸な性格だと思う。感情が持続しないので、何かにこだわることもない。寝れば感情はリセットされてまた同じような日々の繰り返しだ。
何かに執着するということを仏教では強く戒めるようだ。戒めるまでもなく、私には執着するものがない。こういう性格は生きることが楽な反面、何かを持続的にやり遂げるということがない。なので大成しないのである。
心の闇を抱えながら生きるということは、それを糧にして成熟する可能性をもつ。なぜならそれを乗り越える過程で深く考察し、自省とともに熟慮し成長するきっかけをもつからだ。
心の闇が持続しない私としては、成熟する気配すらない。だからたまにダークな本を読んで闇を疑似体験している。それでも心の糧になっているかと言えばおぼつかない。
心の闇と対話し、葛藤し、そして乗り越える者。それは幸いなる者である。
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