第262話牛丼的考察

 目が覚めた。すると何かしっかりしたものを食べたくなった。寝床でしばらく思案した結果、牛丼が食べたいのだという結論になった。

 外は雨にもかかわらず、牛丼のためならなんのそのと言わんばかりに、服に着替え、牛丼屋へ。店内は食事時間ではないので、ガラガラだ。店に入ったのが、9時半ごろなので、ガラガラなのは当たり前なのだ。

 牛丼の並をよどみなく叫んで待つ。奥のお姉さんが手早くケースに牛丼を詰める。サッとレジ担当に渡すと、レジ担当は紅ショウガつけますかと聞いてくる。当たり前だ。紅ショウガのない牛丼など、ミルクの入っていないコーヒーのようなものだ。

 牛丼を無事テイクアウトすると店を出た。早く、食べたい。早く、食べたい。お腹が鳴る。雨の中をテクテク歩いて自宅に着いた。そして、着くやいなや、テーブルに牛丼をセットし、麦茶を入れる。座って割り箸をもち、いただきます。

 モグモグ、モグモグ、うまい。牛丼などもう1年くらい食べていない。この安っぽい味がたまらなくいい。脂身多めの薄い肉に、玉ねぎがのっていて、温かいタレがまんべんなくかかっている。紅ショウガと肉を口に運ぶと思わず笑みが。

 さすが、庶民の味方、牛丼である。久しぶりに庶民の味を堪能する。この味はやはり自炊では味わえない。美味かな、美味かな。

 そういえば、昼食はもういいとして、夕食はどうしようか。まったく考えていなかった。冷蔵庫の残り物を工夫して何か作ろうか。シンプルにソーセージを焼いて、卵かけご飯と一緒に食べるというのはどうだろう。うん、それはいいアイディアだ。今日は一日庶民の味を堪能しよう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る