ハミ出し事件簿 その3(病院は怖いところ)
3-1 Secret -謎の検査結果-
「先生っ!この検査結果は一体!?」
白いナースウェアに身を包んだ二十代後半の女性は、俺の検査結果を見た途端、驚きと恐怖に目を見開いたまま、傍らに居る医師の方を振り向く事さえできずに、出来の悪い金魚の様に口をパクパクさせている。
「ゆかり君、見てしまったんだね。」
四十代後半と思しき医師の男は、深い苦悩を伺わせる眉間の皴を更に深くして、呻く様に答えた。
その皴は、今や日韓の溝よりも深い。
「いいか、ゆかり君、この検査結果は、彼が起きても決して見せてはいけないよ。」
「は、はい…、でも彼は一体何者なんですか?」
「分からんよ、今の医学では解析不能だ。」
「先生、なんだかこの人…気持ち悪いです。」
(丸聞こえだ。)
俺は今更『起きてます』とも言えず、じっと目を閉じて寝たふりをしている。
何故、こんな事態になってしまったのだろうか。
俺は例のDV事件の際、ハミーに蹴られた後頭部の陥没骨折と、DV野郎に激突した鼻骨の粉砕骨折で全治一か月の診断を受け入院していた。
まぁ、名誉の負傷ってヤツだ。
「いいかい、ゆかり君、この事は君の胸の内だけにハミ出さないように閉じ込めておくんだ、絶対に漏らしてはいけないよ、もし漏らしたら…。」
医師の目が怪しい光を帯び、鋭い殺気が俺にまで伝わってくる。
「はいはい、分かりましたよ、私の胸に仕舞っておきます。」
ナースは殺気には気づいていないようだ。
(この医者一体何者なんだ!?)
医者はポケットに手を入れたままナースの方に向き直ると、ゆっくりとポケットから何かを取り出した。
「ゆかり君ッ!!」
(殺られるッ!)
「もう、その
医者はただのスケベだった。
取り出したピンク色の微振動を繰り返す謎の機械を、ナースの
「いやぁ~ん、こっちもハミ出しちゃう~。」
ナースはもっとスケベだった。
謎の機械を持つ医者の手を、自分の股間に誘導している。
(こいつら、ココでおっぱじめるつもりか?)
俺はさりげなく寝返りを打つふりをして、自制を促す。
二人は俺を観察するように眺めていた。
(やめてくれよ…。)
「大丈夫、寝てるよ、心配なら麻酔一本打っとこうか。」
(おい!)
「もう、いっその事、酸素チューブ抜いちゃいますぅ~?」
(抜くのはそのエロ医者の息子だけにしときな!)
その時、天使が突然現れた。
「ハミさん、起きてますか?」
(来てくれたのかい、マイ・ハミー♡♡)
きょとん顔のハミーを置いて、医者とナースはそそくさと部屋を出て行く。
「いやぁ、毎日お見舞い来てもらってすみませんね。」
「いえいえ、私にも少し責任ありますから。」
(少し!?)
なんという奥ゆかしい女性だろう、さすがだぜ、マイハミー!
「それはそうと、ハミさんの検査結果、めちゃ面白いですねっ!」
「なにぃ!? なぜハミーが知ってる?」
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