第62話 飛ばされた3人は?
「それでは今日は、ここまでにしましょう。」
望たち魔法使いは全員お腹が痛くて戦闘不能になった。
「だらしがない軟弱な連中め! たるんでいるぞ!」
しかしクロムだけは平気だった。
「おまえは化け物か?」
望はクロムに呆れる。
「それでは私は退散します。この魔法渋谷スクランブルスクエアも元の高層ビルに戻しておきましょう。」
「このビルをおかしくしたのも、灰色の魔法使いだったのか!?」
恐るべき灰色の魔法使いの魔法力であった。
「私たち灰色の魔法使いにとって、新しいダンジョンや塔、洞窟を作り出すなど簡単なことです。ここ魔法渋谷は元々、街自体がダンジョンの様なものです。」
これが世界でも有名な魔法都市の実情である。
「もしも希さんがさらわれて、高層ビルや地下エリアに連れ去られたとします。するとあなた方は戦力を分散して助けにいかなければなりません。1か所だけなら全員でいいでしょうが、もし仲間が5人さらわれて、5か所に分かれて監禁された場合、仲間を1人でも救出できるだけの強さを身に着けていなければいけません。」
灰色の魔法使いは望に通りを話す。
「全員で1人助けても、他の4人は死にます。弱ければ何もできないのです。誰も助けられないのです。それが世の中です。口だけ偉そうな者は何もできないのです。」
「クッ!? そ、そうですね。」
望は何も言い返せなかった。灰色の魔法使いの言っていることが正しいからだ。
「強くなりなさい。勝ちたいなら。強くなりなさい。仲間を救いたいなら。大切な人を失いたくないなら。」
「どうすれば、あなたみたいに強くなれますか?」
望は戦いを繰り返す中で灰色の魔法使いの強さに憧れの様なものを抱いていた。
「英語を勉強しなさい。」
「ええー!? 英語!?」
「この世界は英語が全て。だって英語は魔法なのですから。単語を1つでも多く覚え、英文をスラスラと使いこなし、通訳として人の役に立ちなさい。英語が話せると20億の世界中の人々と会話をすることができるのだから。」
「そうか! 英語を話してコミュニケーションをとることができれば、意思の疎通ができる。世界中の人々と友達になれる!」
「その調子です。頑張ってください。では、また。」
灰色の魔法使いは転移魔法で消えていった。
「よし! 英語をがんばるぞ! 英語は魔法だ!」
望は決意を新たに英語の勉強に挑戦するのだった。
「誰か助けて!?」
イバラ、リリス、美杉は空中庭園の屋上に放置されているのだった。
つづく。
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