第61話 桜餅の有効活用

「戦って疲れるのが嫌なんだもの。」

 これが灰色4号が戦わない理由であった。

「あはは・・・・・・そうなんですね。」

 その理由に呆れる希。

「おかえりなさい。あなたもお茶をどうぞ。春は出会いの季節ですから。」

「いただきます。いや~良いお手前で。」

 クロムもお茶会に参加する。

「太陽光線で貫かれたのね。」

 次に灰色4号は望の傷を見る。

「治せますか?」

 心配そうな希。

「傷口に桜餅を塗りつぶせば直ぐに治ります。」

 灰色4号は桜餅を望の傷口に塗り付ける。

「ゲエッ!? 何してるんですか!? 気持ち悪い!? やめて下さい!? 傷が悪化しちゃいますよ!?」

 希は灰色4号を信じて思いっきり公開した。

「ん? んん? ここはどこだ!?」

 望が何事もなかったように起き上がった。

「ええー!? 望が生き返った!?」

 この現象に希は驚愕した。

「その桜餅には回復魔法が練りこんであります。」

 灰色4号が桜餅の種明かしをする。

「死ね! 死ね! 生き返るな! 私の立場が無くなるじゃないか!」

「ギャアアアアー!?」

 希は体裁を保つために必死で望を殴り倒す。

「ふ~う。これで良し。」

「俺を殺す気か!?」

 こうして望の傷は癒えたのだった。

「望! 希!」

 その時、氷漬けにされていたクラスメイトの他の魔法使いたちがやって来た。

「みんな! 無事だったのか!」

「良かった!」

 望たちは合流したことを喜んだ。

「さあさあ、お茶と桜餅をどうぞ。」

「カクカクシカジカだ。食べても大丈夫だぞ。」

「いただきます。」

 魔法使いたちは灰色の魔法使いに抵抗もあったが、望の話を聞いて、休憩をすることにした。

「ありがとうございます。助けてもらって聞くのもあれですが、あなたたち灰色の魔法使いは、いったい何者なんですか? 分からないんです。教えてください。」

 望は灰色4号に率直に疑問を質問する。

「私たちは、来るべき戦いのために、強い魔法使いがたくさん必要です。」

「来るべき戦い?」

「はい。あなたは、この世界が何でできているか、知っていますか?」

「この世界???」

 望は灰色の魔法使いの言葉を考える。

「難しい!? 答えが見つからない!? い、痛い!? 頭が割れそうだ!?」

 しかし望は答えが見つからなかった。

「う!? 苦しい!?」

 その時だった。桜餅を食べた魔法使いたちが苦しみ始めた。

「どうした!? みんな!?」

「お腹が痛い!?」

 魔法使いたちは腹を抑えて苦しんでいる。

「あら? そういえば、この桜餅の賞味期限が切れてるわ。」

「なんですとー!?」

 これが本当の4月魔法、桜餅である。

 つづく。

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