第52話 夢は無限大

「みんな!? 先に行かなかったのか!?」

「望がいる場所が私のいる場所よ。」

「同居人としては、放ってはおけない。」

「なら私も取りついている者として放ってはおけない。」

「望お兄ちゃん、死ぬ時は一緒です!」

「みんな、ありがとう。」

 望たちは心を一つにするのであった。

「私は構わないぞ。全員でかかってきても。卑怯者。」

「なに? 今の言葉は取り消してもらおうか。戦うのは、俺一人だ!」

「面白い。おまえ一人で何ができるか、見せてもらおうか。」

 望と灰色4号12分の1の戦いが始まる。

「くらえ! 1月魔法! 吹雪!」

 灰色4号12分の1が自身の魔法属性であろう、冷たく激しい吹雪を繰り出して望を攻撃する。

「悪いが、おまえの吹雪は既に見切った。俺に同じ技は効かないぞ!」

「なんだと!? 私の吹雪を避けながら前に進んでくるだと!?」

 望は吹雪の厳しい所は避けながら灰色4号12分の1に近づいていく。

「いいか! よく聞け! 俺の夢は誰にも奪えない! 夢は見るものではなく、夢は叶えるものだ! 俺の夢は無限大だ!」

 望の魔法力が高鳴り全身に優しさや、ときめく夢が溢れる。

「バカな!? 夢の魔法使いの魔法力が爆発している!?」

 予想以上の望の魔法力に、たじろぐ灰色4号12分の1。

「くらえ! みんなの夢! 夢魔法! ドリーム・カム・トゥルー!」

 望の夢が灰色4号12分の1を覆いつくす。

「ギャアアアアー!?」

 望の夢で灰色4号12分の1を倒した。

「やったぜー! 俺の勝ちだー!」

「おめでとう! 望!」

「勝って当然よ。私の男なんだから。」

「今夜も良い夢が見れそうね。」

「さすがです! 望お兄ちゃん!」

 望は希たちに祝福される。

「こ、これで勝ったと思うなよ。今年は暖冬で雪の量が少なかっただけだ。これから出てくる灰色4号12分の1は私よりも強い者ばかりだ。」

「なんだって!?」

「私に倒されなかったことを後悔するがいい。バタッ。」

 灰色4号12分の1は、地面に倒れて気を失った。

「みんなのことが心配だ。次のフロアに向かおう。」

「おお!」

 望たちは非常階段を降りて、23階に向かう。

「プワ~ン。」

 望たちは、まだ気づいていない。灰色4号12分の1の姿が24階から消えたことを。


「よし! みんな、23階のさまよえる渋谷人レベル1は倒してくれているぞ!」

「だてに魔法使いはやってないわね。」

「この調子なら、簡単に魔法渋谷スクランブルスクエアから脱出できそうだな。」

「次の階へ行こう!」

「おお!」

 望たちは、22階へ向かう。

「なんだこれは!?」

 望たちが見たのは、氷漬けにされた生徒たちだった。

 つづく。

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