第51話 24階

「女狐! 悪霊! 一時休戦よ!」

「いいでしょう。先にさっさとゲームを終わらせましょう。」

「私なら床を通り抜けて、何の問題もなくクリアできるのに。人間って不便ね。」

 希とイバラとリリスは共通の敵を見つけて一時休戦して、力を合わせることにした。

「今みたいに仲良くしていてくれないかな。」

「安心してください。どんな時でも望お兄ちゃんの側にいます。」

「ありがとう。希。」

 素晴らしき兄弟愛。果たして望と美杉に愛は芽生えるのか。

「みんな! さっさとビルの外に避難しようぜ!」

「おお!」

 生徒全員が非常階段に向かい地上を目指して、階段を駆け下りていく。


「ギャアアアアー!?」

 24階のフロアから生徒たちの悲鳴が聞こえてくる。

「なんだ!? 何が起こっているんだ!?」

 望たちが24階のフロアにたどり着いた。

「おまえは!? 灰色の魔法使い!?」

 24階のフロアに灰色の魔法使いがいて、生徒たちの行く手を塞いでいた。

「ここを通りたければ私を倒していくんだな。まあ、無理な話だろうが。」

「面白い。おまえの相手は俺がする。」

 望が灰色の魔法使いの相手をすると立候補する。

「みんなは、先に行ってくれ。後から必ず追いつくから。」

「分かった。死ぬなよ。望。」

 生徒たちは、灰色の魔法使いの相手を望に任せて先に向かう。

「生かせると思うのか! 1月の魔法! 吹雪!」

 灰色の魔法使いは、魔法で吹雪を出して生徒たちの行く手を邪魔しようとする。

「させるか! 夢魔法! ドリーム・カム・トゥルー!」

 望の夢が灰色の魔法使いの吹雪を消し去る。

「さあ! みんな! 今のうちに次のフロアに進むんだ!」

「おお! 後は任せたぞ!」

 クロムを先頭に、生徒たちは階段を降りて先に進んで行く。

「お主、なかなかやるな。」

「灰色4号! おまえにも良い夢を見させてやるぜ!」

 望は灰色の魔法使いに4番目なので灰色4号と名付けた。

「灰色4号? おまえは何か勘違いをしていないか?」

「何?」

「この魔法渋谷スクランブルスクエアにいる灰色の魔法使いが私だけだと思うなよ。この魔法渋谷スクランブルスクエアには12人の灰色の魔法使いが配備されている。」

「なんだって!?」

「差し詰め私が名乗るとすれば、灰色4号12分の1だ。カッカッカ。」

 魔法渋谷スクランブルスクエアには灰色の魔法使いが12人もいることを知る望。

「それがどうしたの? 私たちで12人の灰色の魔法使いを倒せばいいだけでしょ。」

「私一人で十分よ。黒の世界に誘ってあげる。」

「呪い殺すのは得意です。」

「なんなら天使様を呼びますよ。」

 希、イバラ、リリス、美杉は、望と一緒に残っていたのだった。

 つづく。

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