第53話 22階

「みんなが氷の中に閉じ込められている!?」

「キャアアアアアア!?」

 望たちが22階で生徒たちの氷漬けを見て、驚き戸惑っている。

「の、望か!?」

「ヒムロ!? レイ!? おまえたち無事だったのか!?」

 望は半分凍っている氷の魔法使いのヒムロとレイがいることに気づく。

「レイ!? 大丈夫!?」

「なんとかね。これでも氷の魔法使いですから。」

 しかし、レイもかなりのダメージを受けていた。

「直ぐに回復魔法を・・・・・・無理。だって私は奇跡魔法だもの。レイ、もう少し死にかけてもらえると奇跡的に生き返らせることができるかも?」

「嫌よ! 死にたくない!」

 希の奇跡魔法は回復には向いていない。 

「私、とどめならさせるわよ。」

「殺す気ですか!?」

 イバラの黒魔法も回復に向いていない。

「仕方がない。私が死者の国に案内してあげよう。」

「断ります!」

 リリスは夢魔魔法も回復には向いていない。

「氷漬けになって死んだ方がマシかもしれない!?」

 疑心暗鬼に陥るヒムロとミナモ。

「安心してください。私は回復魔法を使えますから。天使魔法! リカバー!」

 美杉の魔法で聖なる光が水の魔法使いたちを優しく包む。

「ああ~気持ちいい。傷が癒されていく。」

「生き返るわ。生きてて良かった。」

 水の魔法使いたちは回復した。

「いったい何があったんだ!? 分かるように説明してくれ。」

「実は・・・・・・。」

 氷の魔法使いたちが経緯を説明し始める。

「私たちは22階にやって来たんだ。するとアイツが現れて、あっという間に、皆を凍らせてしまったんだ!?」

「アイツ?」

 望たちが24階で戦っている間、他の生徒は凍っているので下の階には進んでいなかった。

「おまえたちは、ここで氷の標本になる運命なのだ!」

「アイツだ!?」

 現れたのは、灰色の魔法使いだった。

「おまえは何者だ!?」

「私の名前は灰色の魔法使い4号12分の1だ!」

「また、出た。」

 望たちが24階で戦った灰色4号と同じような見た目だった。

「私は簡単には倒せんぞ。ここを通ることを諦めるんだな。」

「さっきの灰色4号も同じようなことを言って、俺に倒されたぞ。」

 いよいよ望と灰色4号6分の1との戦いが始まろうとしていた。

「待ってくれ。ここは私たちに任せてくれ。」

「同じ氷魔法を使う者同士、ここで負ける訳にはいかないんだ。」

 氷の魔法使いたちが勇気を振り絞って立ち上がる。

 つづく。

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