第14話 幸せな家庭は嫌い
「・・・・・・。」
謎の魔法使いの転校生が2人やって来た。しかし日常の学園生活は何も変わらず、淡々と時間だけが過ぎているように見えた。
「イバラちゃん! 一緒にご飯を食べよう!」
怖いもの知らずの美杉が、窓辺の席に座り遠くを見つめている、いかにも、やる気のなさそうな黒花イバラに声をかける。
「結構。」
「まあまあ、そう言わずに仲良くしましょうよ!」
嫌がる転校生の席でお弁当を食べだす美杉。
「美杉ちゃん!? 危ないわよ!?」
心配する希。
「なんで?」
「え!?」
「ご飯はみんなで食べた方が美味しいよ!」
敵かもしれない黒花イバラだが、頭脳は小学生の純粋な美杉に、そこまでの人間関係を考えることはなかった。
「なら、私も一緒に食べる! 美杉ちゃんの保護者として!」
希は、望の大切な妹を危険な目には合わせられないという保護者の気持ちであった。
「勝手にすれば。」
イバラは、不愛想に自分のお弁当を食べ始めた。彼女は、嫌だからと言って、わざわざ席を立って去って行くのも面倒臭いのだ。
「イバラちゃんは、何者なの? どこから来たの?」
悪気の無い美杉の質問攻めが転校生いじめのようにつづく。
「私は私。水平線の向こう。」
イバラは、適当な答えを並べて質問をかわしていく。
「じゃあ、イバラちゃんのお父さんと、お母さんは?」
「ピクッ!?」
その時、両親のことを聞かれたイバラの箸が止まった。
「ゲッ!? み、美杉ちゃん、世の中には聞いていいことと悪いことがあるのよ!?」
場の空気を読んで、すかさずフォローにはいる希。
「なんで?」
依然として美杉は場の雰囲気を考えない。
「私の両親は死にました。」
重い口を必死に開くイバラ。
「え!?」
驚く希。やはりイバラに両親のことを聞いては行けなかったのだ。
「幼い頃、私の目の前で鬼、妖怪、鬼神になぶり殺しに合いました。そして、そいつらを操っていたのが人間だった。それから私は一人で命がけで生きてきた。だから、私は幸せな家庭は嫌いです。私が人間をさまよえる廃人に変えるのも、私から両親を奪った人間への復讐のためよ。」
今、明かされるイバラの過去。
「ごめんなさい!? 失礼なことを聞いちゃって!?」
必死に謝る希。
「な~んだ! 私と一緒だね!」
その時、美杉が口を開いた。
「え?」
「だって、美杉のお父さんとお母さんも天国にいるもん!」
美杉は自分のことをイバラに話をすることによって、未来を切り開く。
つづく。
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